通院1日いくら?「8600円」は誤解です。正しい入通院慰謝料の見方
入通院慰謝料は「固定の日額」ではなく、基準と算定ロジックで金額が変わります。弁護士が交渉に入れば、ケース次第で「日額換算」が8,000円台〜1万円前後になることもあります。
目次
- 「1日8600円」説がズレる理由
- 入通院慰謝料の3基準と計算方法(弁護士/自賠責/任意)
- 通院1〜6ヶ月:相場一覧(数値は新しい目安に差し替え)
- 日額換算の比較イメージ(概算)
- よくある疑問:1日通院は?経費請求は?
- 「いつ」の論点:受取時期・対象期間・時効
- 十分な金額を得るポイント(増減要因・後遺障害・弁護士活用)
「1日8600円」説がズレる理由
自賠責基準は 4,300円 × 対象日数 が原則(※2020/3/31以前は4,200円)。ここでいう「対象日数」は 治療期間 と 実通院日数×2 の短い方。
「×2」を日額に掛ける誤読が「1日=8,600円」説の原因です。
結論:日額そのものが8,600円ではありません。対象日数のカウント方法で総額が上下します。
通院1〜6ヶ月の慰謝料相場(概算・比較用の新しい目安)
| 通院期間 | 弁護士(重傷の目安) | 弁護士(軽傷の目安) | 自賠責(概算) | 任意保険(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | 30.0万円 | 20.0万円 | 12.9万円 | 12.0万円 |
| 2ヶ月 | 55.0万円 | 38.0万円 | 25.8万円 | 24.6万円 |
| 3ヶ月 | 76.0万円 | 55.0万円 | 38.7万円 | 36.5万円 |
| 4ヶ月 | 92.0万円 | 70.0万円 | 51.6万円 | 46.0万円 |
| 5ヶ月 | 108.0万円 | 82.0万円 | 64.5万円 | 55.0万円 |
| 6ヶ月 | 120.0万円 | 93.0万円 | 77.4万円 | 62.0万円 |
注:上表は概算目安です。自賠責は対象日数の取り方(治療頻度)で上下します。任意は社内表により差が出ます。
「日額換算」の比較イメージ(概算)
各基準の差を直感しやすいよう、上表を1日当たりに按分(30日換算)してみた概算です。
| 通院期間 | 弁護士(重傷) | 弁護士(軽傷) | 自賠責 | 任意保険 |
|---|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | 10,000円 | 6,666円 | 4,300円 | 4,000円 |
| 2ヶ月 | 9,166円 | 6,333円 | 4,300円 | 4,100円 |
| 3ヶ月 | 8,444円 | 6,111円 | 4,300円 | 4,055円 |
| 4ヶ月 | 7,666円 | 5,833円 | 4,300円 | 3,833円 |
| 5ヶ月 | 7,200円 | 5,466円 | 4,300円 | 3,666円 |
| 6ヶ月 | 6,666円 | 5,166円 | 4,300円 | 3,444円 |
弁護士基準は期間が延びるほど「日額」は緩やかに低下する傾向ですが、総額は自賠責や任意より大きくなりやすいのが実務です。
「いつ」の論点(受取・対象期間・時効)
- 受取時期:示談成立後に振込(目安:成立〜2週間前後)。
- 対象期間:事故日〜完治日/症状固定日。固定後は原則「後遺障害慰謝料」領域。
- 時効(原則):2020/4/1以降の事故は5年(入通院は事故日、後遺は固定日起算)。
例外的に3年の取り扱いが残るもの(自賠責への保険金請求など)もある点に注意。
十分な金額を得るための実務ポイント
(1)通院と診断書の管理
- 医師作成の診断書は必須。自覚症状は漏れなく伝達。
- 整骨院・接骨院は医師の許可と並行受診が無難。
- 過剰・過少通院はどちらもNG。医師指示の頻度を遵守。
(2)増額/減額の典型
- 増額:飲酒・重過失、ひき逃げ、不誠実対応、手術の反復など。
- 減額:素因減額、損益相殺、過失相殺など。
(3)後遺障害と逸失利益
固定後も症状が続くなら等級申請。等級に応じて後遺障害慰謝料+逸失利益が請求可能。
申請は被害者請求が有利なことが多く、書類整備が結果を左右します。
(4)弁護士活用で相場へ寄せる
- 弁護士基準での示談実現率が上がり、漏れなく項目請求。
- 過失割合・証拠整理・医証の取り回しも含め交渉の質が向上。
- 弁護士費用特約があれば自己負担0円〜のケース多数(翌年料率に通常影響なし)。












