入通院慰謝料の計算方法|相場と増額の考え方
交通事故で請求できる慰謝料は「入通院」「後遺障害」「死亡」の大きく3種類。この記事では中でも質問の多い入通院慰謝料に絞って、計算の手順・端数日の出し方・基準ごとの差をわかりやすく整理します。
まずは計算の全体像を掴み、次に弁護士基準での適正額を把握、最後に増額のための実務ポイントまで一気通貫で確認しましょう。
要点サマリー(最初に結論)
- 入通院慰謝料は、期間(入院月数×通院月数)×基準表で算出するのが基本。
- 基準は自賠責・任意保険・弁護士の3段階。最も高いのは弁護士基準。
- 端数日は翌月との差額を日割りで計上(30日換算が目安)。
- 自賠責は1日あたり4,300円方式(一般的目安)で、日数の取り方に注意。
- 増額のカギは通院実績・医師の意見書・示談前の相談。サイン前に専門家確認が鉄則。
入通院慰謝料のしくみと「3つの基準」
入通院慰謝料は、医療行為に伴う精神的苦痛に対する賠償。算定には以下の3基準があります。
| 基準 | 位置づけ | 目安 |
|---|---|---|
| 自賠責 | 最低限の補償(法定) | 日額4,300円 × 採用日数(一般的運用) |
| 任意保険 | 保険会社の社内目安 | 自賠責+α程度の水準が多い |
| 弁護士(裁判) | 判例相場に基づく | 最も高額・法的根拠が明確 |
弁護士基準:軽傷用・重傷用の使い分け(例)
弁護士基準には「軽傷(むちうち・打撲など自覚症状中心)」と「重傷(骨折・内臓損傷等)」の2系統の目安表があり、入院月数×通院月数で金額帯が変わります。以下は編集用の例で、運用の考え方を掴むために掲載しています。
通院のみ(軽傷用・例)
| 通院期間 | 任意保険(例) | 弁護士(軽傷・例) | 弁護士(重傷・例) |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | 12.5万円 | 19万円 | 28万円 |
| 2ヶ月 | 25.0万円 | 36万円 | 52万円 |
| 3ヶ月 | 37.5万円 | 53万円 | 73万円 |
| 4ヶ月 | 47.5万円 | 67万円 | 90万円 |
| 6ヶ月 | 64.0万円 | 89万円 | 116万円 |
| 12ヶ月 | 93.0万円 | 119万円 | 154万円 |
例の使い方:「任意保険は低め・弁護士は高め」という相対感覚を掴むための比較用です。実運用は医証・経過・活動制限の程度などを加味して評価されます。
端数日の出し方(最重要テクニック)
算定表は月単位が基本。3ヶ月と3日といった端数は、翌月との差額を30日で日割りして加算します。
計算例①:通院93日(= 3ヶ月3日)/軽傷用例
- 3ヶ月の額:53万円
- 4ヶ月との差額:67万円 − 53万円 = 14万円
- 端数3日:14万円 × 3 / 30 = 1.4万円
- 合計:54.4万円
計算例②:実通院日数が少ない場合(調整ありの例)
むちうち等で実通院が少ないと、実通院日数×3〜3.5倍を採用する運用がある(例示)。
- 実通院40日 × 3.5 = 140日 ≒ 4ヶ月20日
- 4ヶ月:67万円/5ヶ月:79万円
- 端数20日:(79−67)×20/30=8万円
- 合計:75万円
入院+通院が混在する場合の考え方(例)
原則は入院分(横列)+通院分(縦列)の重複調整。端数はそれぞれ差額日割り。
計算例:通院90日+入院3日(合計93日)/軽傷用例
- 合計93日 → 3ヶ月3日として縦列:54.4万円
- 入院3日(横列0→1ヶ月差額)3.5万円 − 同期間通院分(縦列0→1ヶ月差額)1.9万円 = 1.6万円
- 合計:56.0万円
自賠責での入通院日数の採り方(一般的運用の例)
自賠責は日額4,300円(2020年4月以降の一般的目安)× 採用日数。採用日数は、「治療期間」と「入院日数+実通院日数×2」の小さいほうを使うのが通例。
例:入通院90日/入院5日・実通院15日の場合
- 治療期間:90日
- 入院5日+通院15日×2=35日
- 採用:35日 → 4,300円×35日=150,500円
「計算シート」なしでも迷わない早見表(例)
実務ではシート化が便利ですが、概算の当たりを付けるための早見を置いておきます(編集用例)。
通院のみ(1〜12ヶ月)軽傷の目安(例)
| 通院 | 任意保険(例) | 弁護士(軽傷・例) |
|---|---|---|
| 1ヶ月 | 12.5 | 19 |
| 2ヶ月 | 25.0 | 36 |
| 3ヶ月 | 37.5 | 53 |
| 4ヶ月 | 47.5 | 67 |
| 5ヶ月 | 56.5 | 79 |
| 6ヶ月 | 64.0 | 89 |
| 7ヶ月 | 70.0 | 97 |
| 8ヶ月 | 76.0 | 103 |
| 9ヶ月 | 81.0 | 109 |
| 10ヶ月 | 86.0 | 113 |
| 11ヶ月 | 90.0 | 117 |
| 12ヶ月 | 93.0 | 119 |
コツ:「まずは弁護士基準目安」を見て、提示額がそこからどれくらい乖離しているかで交渉余地を見立てると早いです。
納得いかないときの増額ステップ
- 医証の補強:通院実績・症状固定日・日常生活制限を医師意見書で明確に。
- 費目の網羅:入通院慰謝料だけでなく、休業損害・通院交通費・雑費も精査。
- サイン前相談:示談書署名前に第三者チェック(弁護士)でリスク回避。
- 弁護士基準で再交渉:提示根拠の開示を求め、相場(判例)とのズレを指摘。
後遺障害・死亡の目安も把握しておく(超概観)
入通院だけでなく、後遺障害慰謝料や死亡慰謝料も検討対象になることがあります(以下は相場観の編集用例)。
| 区分 | 自賠責(例) | 弁護士(例) |
|---|---|---|
| 後遺 14級 | 32万円 | 110万円 |
| 後遺 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 死亡 一家の支柱 | 400万円 | 2,800万円 |
実務は等級認定(医証)と生活影響の立証で大きく変わります。入通院の段階から記録を丁寧に。
交通事故の慰謝料でお悩みの方へ
提示額の妥当性は基準・証拠・経過で決まります。サイン前に一度プロの目で点検を。
交通事故の無料相談ならジコまどが伴走します。












