交通事故の問題で第三者の専門家にお願いすることは有利に進む事もあり、負担を減らす手段としてとても良い方法です。それでは行政書士はどうでしょうか。「行政書士」という職業について、名前は知っていても実際どんなことをしてくれるのかを詳しく知っている人は少ないでしょう。今回の記事では、交通事故の被害に遭った場合に、行政書士がしてくれる事をご紹介します。さらに項目ごとに弁護士と比較し、どちらに依頼した方が良いのかという疑問にお答えする内容になっています。
行政書士とは
行政書士は、法律や条例に基づく各種申請書の作成や手続きを行う職業です。主に、法人や個人が実施する様々な手続きに関する書類を作成し、申請を行うことで、法的な手続きを円滑に進めることができます。行政書士は、地方自治体の窓口や区役所、市役所や商工会議所などで活躍することが多く、民間企業に雇用されることもあります。主な仕事としては、許認可、登記、納税申請、委任状、遺言書などにかかわる書類の作成と申請などが挙げられます。また、行政書士は弁護士や司法書士と異なり、法廷で裁判を行うことはできません。行政書士の資格を取得するには、国家資格の合格試験に合格する必要があります。
交通事故における行政書士のメリット
交通事故において、行政書士に依頼することには以下のようなメリットがあります。
1. 書類作成や手続きのアドバイス
交通事故において適切な書類を作成し、適切な手続きを行わなければなりません。行政書士は、交通事故における書類の作成や手続きに精通しています。適切なアドバイスを提供し、手続きを迅速かつスムーズに行うことができます。
2. 和解交渉の支援
交通事故は、損害賠償請求訴訟だけでなく、和解交渉によって解決されることもあります。行政書士は、和解交渉においても重要な役割を果たします。和解金の設定や条件の交渉など、行政書士は交渉・調整において有用な知識を持っています。
3. 専門家としての立場
行政書士は、一般人よりも法律に精通している必要性はありませんが、交通事故においても、専門家としての立場で、適切なアドバイスができるというアドバンテージがあります。
4. 安価な報酬
弁護士に比べ、行政書士の報酬が安価であるため、交通事故においても、専門家の支援を受けることができます。
以上のように、交通事故において行政書士のメリットは、書類作成と手続きの支援、和解交渉の支援、専門家としての立場、安価な報酬などが挙げられます。
交通事故の事案を多く扱っている行政書士が多い
相談業務を行っている行政書士が多く、中には交通事故の事案に関して専門的に扱っている行政書士もいます。行政書士の事務所ホームページを検索してみて、交通事故の相談を受け付けるなど書いてあれば実績があるということです。
後遺障害認定の知識が豊富
事故の被害に遭い、治療を続けたものの症状が改善せず障害が残ってしまう状態があります。その状態を後遺障害といい、賠償金額を決めるには、後遺障害等級認定の申請を行って、その障害の程度を示す必要があります。行政書士は、その後遺障害等級認定の申立てを行う場合の書類作成について相談に乗ってくれ、代行してくれます。適切な等級認定を得るためには、数々の資料を集めて客観的に証明する必要があります。しかしこういった作業は素人にはなかなか難しく、行政書士がサポートしてくれれば心強いでしょう。
行政機関とのやり取りがスムーズ
行政書士は普段から役所などの行政機関に赴き、書類の提出や申請を行っているため、手続き自体がスムーズに運びます。以上のように、交通事故の事案を行政書士に依頼するメリットは確かにあります。もっとも、行政書士は示談交渉や裁判などの紛争解決を目的とする業務を行うことはできないため、弁護士に依頼した場合との違いが生じます。
交通事故における行政書士のデメリット
代理で示談交渉できるない
そもそも紛争性がある法律事務の、依頼人の代理として行う権限が行政書士には付与されていません。それは弁護士法により、紛争性がある法律事務を行うことができるのは弁護士のみと定められているからです。つまり、行政書士にできる範囲は弁護士と比較して圧倒的に狭いのです。
裁判への参加
示談交渉と同様に、調停や裁判に参加できるのももちろん弁護士のみです。示談交渉がうまくいかずに、訴訟まで発展した際は弁護士の専門性が生かされるシーンです。
それではもう少し弁護士と行政書士との違いを掘り下げて比較していきます。まずは後遺障害認定についてです。
弁護士と行政書士との違い
冒頭でも紹介したように、行政書士の中には後遺障害認定に強い人もいます。資料の収集や申請を援助してくれれば心強いでしょう。
交通事故における弁護士と行政書士の違いは、以下の通りです。
1. 法的手続きの範囲の違い
弁護士は、訴訟や仲裁などの法的手続きを行うことができますが、行政書士は、法律上の手続きや書類の作成などの支援をすることができます。つまり、弁護士は法律上の手続きに強みがあることから、紛争や争いがある場合に選択されることが多いです。後遺障害等級が認定された後に待っているのは示談交渉や、時には裁判の手続きです。ここまで発展すると、行政書士ではなく弁護士にお願いした方がいいと言えるでしょう。
2. 手続きの速度の違い
弁護士は、紛争や争いを引き起こす場合には、法廷手続きが必要な場合があります。これに対して、行政書士は、書類の作成や手続きに精通していることから、手続きのスピードが速く、迅速な対応が可能です。
3. 費用の違い
弁護士は、専門性が高く、紛争や争いを引き起こす場合があるため、相応の費用がかかります。これに対して、行政書士は専門性が高いにもかかわらず、より安価であることが特徴的です。
以上のように、行政書士と弁護士にはそれぞれの専門分野や特性があります。交通事故においても、その状況や状況に応じて、どちらかを選択することができます。
被害者請求に関する行政書士と弁護士の対応
「被害者請求」とは被害者から、加害者側の自賠責保険の会社に、直接請求することです。被害者請求をするためには必要書類が多く、手続きは面倒です。しかし被害者のペースで損害賠償金を受け取ることができるのは大きなメリットと言われています。
被害者請求を行うには非常に多くの書類を集めなければなりません。会社や医療機関など、様々なところに問い合わせて用意する必要があるため、時間と手間がかかります。
行政書士に依頼すれば、後遺障害認定と同じように必要な書類作成などのサポートをしてくれます。しかし被害者請求はその後の対応によっては、示談交渉が長期化してしまったり、訴訟に発展するケースも少なくはありません。そういったケースの場合、行政書士は被害者の代理を行うことはできませんので、弁護士の出番です。また被害者請求には3年以内という期限(時効)があります。そういった意味でも、最初から弁護士に依頼しておけば二度手間になることなくスムーズに手続きが進みます。
弁護士と行政書士の費用の違い
弁護士と行政書士の費用の違いは、専門性に関係しており、以下のようになります。
弁護士の費用
弁護士は、法律的な問題解決に深い専門性を持っているため、その専門性を客観的に評価され、高い費用がかかります。弁護士の報酬は、依頼する問題の内容や難易度、時間や交通費、人件費、経費など様々な要素が考慮されて決定されます。下手をすれば、数十万円から数百万円単位で請求されることもあります。
行政書士の費用
一方、行政書士は弁護士ほど高度な専門性が必要ではないため、弁護士に比べて費用が低い傾向にあります。依頼内容や時間、手数料等によって異なりますが、数万円から数十万円程度で済むことが多いです。ただし、行政書士に依頼して解決できる問題と、弁護士に依頼して解決する必要がある問題はそれぞれあります。ほとんどの場合、法的に複雑で専門的な問題は弁護士に依頼する必要があります。
交通事故については、過失割合や慰謝料の請求額など専門的な問題も多いため、依頼内容によっては、弁護士に依頼することも多いです。ただし、行政書士が自賠責保険会社との交渉を行う場合や、書類作成手続きのサポート等の業務を行う場合は、費用が相当低く、行政書士の方が適している場合があります。
弁護士は交渉や紛争がある場合に心強い
弁護士は行政書士と違い、交渉や紛争処理を強みとしています。常に次に起こりうるトラブルや展開を予測しながら動いてくれるため、満足の行く解決へと近づきます。
もちろん行政書士も力になってくれますが、交通事故の問題に限って言うとやはり事務範囲が限定されるのがデメリットです。示談交渉や被害者請求は弁護士のみであり、もしも同行為を行政書士がした場合は非弁行為という違法行為になってしまいます。
交通事故の被害に遭い、問題を抱えている時に頼れる第三者には弁護士と行政書士がいます。しかし行政書士の実務範囲は書類作成や相談業務など、実務範囲が狭く、その点、弁護士に依頼すれば賠償額のアップも期待でき、示談交渉や訴訟など最初から最後まで全てを安心して任せることができます。