交通事故発生から解決まで






交通事故発生から解決まで|フロー・必要書類・実務の勘所


交通事故発生から解決まで完全ロードマップ

交通事故の案件は、初動の一手が最後の補償額や後遺障害の有無にまで波及します。本ページでは、事故直後から解決までの全体像を、ステップ別に「やること・集めるもの・気を付ける点」に分けて体系化。被害者請求異議申立て算定基準など、実務で問われる勘所も網羅しています。

全体フロー:発生 → 治療 → 認定 → 請求(示談) → 解決

事故発生・初動対応

  • 110番通報、救急要請、人身扱いの届け出
  • 現場・車両・信号・標識・路面の撮影(移動前)
  • 目撃者の氏名・連絡先の確保、ドライブレコーダー保存
  • 相手の氏名住所、車両番号、自賠責・任意保険情報

入通院治療・症状の記録

  • 事故当日から2週間以内に受診・診断書取得
  • 通院間隔は詰める(頻度は認定に影響
  • 痛み・しびれ・可動域・日常生活の支障を日誌化

症状固定・後遺障害申請

  • 主治医と症状固定時期を協議
  • 後遺障害診断書の記載要点を確認
  • 被害者請求で自賠責へ提出(事前認定は避ける)

等級認定・異議申立て

  • 損保料率機構による認定結果の受領
  • 不服なら医学的根拠の補強をして異議申立て

示談交渉(任意保険)

  • 裁判基準(赤い本相当)で損害算定
  • 休業損害・逸失利益・慰謝料・将来費用の裏付け
  • 合意に至らなければセンター調停や訴訟へ

解決(和解・調停・判決)

  • 合意内容は明細化し文書化
  • 支払期日・方法・清算条項の確認
  • 税・保険・復職支援等のアフターケア

ステージ別|「集める書類」と「注意点」

① 事故直後(初動)

取得すべき資料 実務上の要点
・事故現場写真/車両損傷部位の近景・全景
・目撃者メモ(氏名・連絡先・見た事実)
・相手方の運転免許・車検証・保険証券の画像
・110番通報履歴(後日でも可)
人身扱いでの届け出が必須(物損のままは危険)
・実況見分の実施により公的記録を確保
・ドラレコは上書き前に即時バックアップ

② 入通院・支出管理

領収・証拠 管理のコツ
・診断書(特に初診日のもの)
・治療費・診断書料・装具代の領収書
・通院交通費(タクシー領収/公共交通は日付・金額記録)
・付添費(家族・職業付添)のメモと領収
・勤務先の出勤簿・賃金台帳(休業損害立証)
・通院は空白を作らない(等級に影響)
・症状日誌:日付/部位/痛み強度(0-10)/不自由な動作/服薬/労働・家事への影響
・会社・学校への配慮記録は社会的不利益の根拠になる

③ 症状固定・後遺障害申請

被害者請求を推奨:保険会社主導の「事前認定」だと、医療照会の設問設計が加害側有利になるリスク。被害者請求なら、提出書類の選択・構成を主体的に組めます。

  • 後遺障害診断書(神経学的所見・画像・可動域測定・ADLの具体)
  • 画像所見(MRI・CT・X線)と撮影条件の明記
  • 投薬履歴・リハビリ計画・主治医意見書
  • 就労への影響(配置転換・欠勤・評価変動)の資料
  • 家事労働者は家事遂行困難の具体例(買物・調理・育児)

④ 認定・異議申立て

認定結果が不十分な場合は、新たな医学的資料(神経伝導・筋電図・ストレステスト・可動域の再測定等)を補い、症状の連続性と他覚的所見の関連を強化して異議申立てを行います。

⑤ 示談交渉(算定基準)

項目 ポイント
治療関係費 健康保険・労災の活用で費目拘束/過失相殺の影響緩和
通院慰謝料・入通院慰謝料 通院頻度・実日数・治療内容を日誌・カルテで裏付け
後遺障害慰謝料 等級に応じた裁判基準を原則主張
逸失利益 労働能力喪失率・期間の合理的根拠(職種・年齢・復職状況)
休業損害 賃金台帳・源泉徴収票・確定申告で実収入を立証
将来介護費・装具・通院交通費 医師指示・見積をそろえ必要性・相当性を示す

「一括対応の打切り」=通院終了ではありません。医師が必要と認める限り、自費や健康保険・労災等で治療継続し、証拠の連続性を保ってください。

頻出Q&Aと落とし穴

Q1. 物損のまま進んでしまった…挽回できますか?

医師の診断書を添えて、警察で人身切替を依頼。困難な場合は人身事故証明書入手不能理由書で自賠責請求の道を検討。以後の通院・検査を欠かさず、因果関係を補強します。

Q2. 被害者請求と事前認定、どちらが有利?

原則として被害者請求が有利。提出資料の選択権と訴求構成をこちらで設計できるため、所見の拾い落としを防げます。

Q3. 慰謝料はどの基準で?

自賠責基準 < 任意保険基準 < 裁判基準(実務上の目安)。交渉では裁判基準をベースに、医学・労務・生活実態の証拠で積み上げます。

Q4. 認定に不服。異議は通りますか?

新証拠の有無が鍵。画像再読影・神経学的検査・可動域の再計測・MMT・ADLの実態など、初回不足分を補いましょう。

Q5. 調停と訴訟、どちらを選ぶ?

交通事故紛争処理センター=専門性・迅速性・無償(一定条件)。争点が法技術に及ぶ・相手が硬直的なら訴訟で判決的解決を狙います。

実務テンプレ|ログと費目管理

症状・通院ログ(例)

2025-11-06  首肩痛 6/10  右回旋で疼痛、家事30分で悪化。鎮痛剤1錠。帰宅後アイシング15分。
2025-11-09  腰痛 5/10  立位保持20分で痺れ。整形外科受診、L4/5変性+外傷性悪化所見。

費目トラッキング(最低限)

[治療費] 日付/医療機関/金額/支払方法/領収保存
[交通費] 日付/経路/手段/金額/領収 or IC履歴
[休業損害] 休業日/就労不能理由/会社証明
[付添費] 対象日/付添者/内容/時間/交通費

チェックリスト:ここまで整っていれば強い

  • 人身扱い届出・実況見分調書(警察)
  • 初診日明記の診断書・継続通院のカルテ写
  • 画像所見(MRI含む)と読影コメント
  • 症状日誌・就労影響・家事影響の具体記録
  • 後遺障害診断書(医師面談で要点共有済)
  • 被害者請求の提出書式一式・写しを全保管
  • 損害明細(裁判基準に基づく積算シート)

まとめ|「頻回通院」「被害者請求」「証拠の連続性」

交通事故案件は、最初の2〜4週間で勝敗の半分が決まります。通院の密度を確保し、因果関係の断絶を作らないこと。後遺障害は被害者請求で攻め、医学・労務・生活実態の三点から立証を積み上げましょう。示談は裁判基準での評価と、費目ごとの裏付けが命です。

専門家が伴走します

初動から認定・示談まで、抜け漏れなく進めたい方へ。資料整理・医療機関連携・損害算定まで、実務基準で支援します。

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