自賠責の「7日加算」とは?増額の仕組み・判定ルール・使いどころ
7日加算で対象日数が増えると、入通院慰謝料は約3万円(4,300円×7日)上振れの余地。ただし総じて自賠責は最低補償。弁護士基準との比較や例外計算も一気に理解できます。
目次
- 7日加算の定義と位置づけ
- 計算式(自賠責)と「対象日数」の選択ロジック
- 起算日・終了日の取り扱い(7日ルール)
- 7日加算が「増える/増えない」モデルケース
- ギプス自宅療養などの例外カウント
- 自賠責の特性:限度額・過失相殺・減額取り扱いの違い
- 弁護士基準との比較と実務上の最適解
- 無料相談・弁護士費用特約の活用ポイント
1. 自賠責保険の慰謝料における「7日加算」とは
7日加算は、自賠責基準で入通院慰謝料を計算するとき、一定の条件を満たす場合に治療期間を実際より7日長くみなす取り扱いです。対象日数が増える結果、おおむね約3万円(4,300円×7日)の増額余地が生じます。
注意: 7日加算が適用されても、自賠責自体は最低補償の枠組みであり、総額は弁護士基準に比べると低めにとどまります。
3. 起算日・終了日の取り扱い(7日ルール)
起算日
- 事故後 7日以内に治療開始:起算日は「事故日」
- 事故後 8日以降に治療開始:起算日は「治療開始日の7日前」
終了日
- 最終受診から7日以内に治癒:終了日は「治癒日」
- 最終受診から8日以降に治癒:終了日は「最終受診日の7日後」
- 症状固定が宣言:終了日は「症状固定日」
上記の取り扱いを前提に、診断書の記載(治癒見込/継続/転医/中止)があると7日加算の適用対象となります。
4. 7日加算で「増える/増えない」モデルケース
増える例
治療期間50日/通院日数30日
| 判定 | 対象日数 | 金額(概算) |
|---|---|---|
| 7日加算前 | min(50, 30×2=60) = 50 | 4,300×50 = 215,000円 |
| 7日加算後 | min(50+7=57, 60) = 57 | 4,300×57 = 245,100円 |
増えない例
治療期間50日/通院日数20日
| 判定 | 対象日数 | 金額(概算) |
|---|---|---|
| 7日加算前 | min(50, 20×2=40) = 40 | 4,300×40 = 172,000円 |
| 7日加算後 | min(50+7=57, 40) = 40 | 4,300×40 = 172,000円(変化なし) |
通院実日数×2 が常に短いケースでは、治療期間側を7日増やしても採用側が変わらず、金額は動きません。
6. 自賠責の特性:最低補償・限度額・過失相殺の取り扱い
(1)慰謝料の種類
- 入通院慰謝料:治療中の精神的苦痛
- 後遺障害慰謝料:等級1〜14級で金額固定
- 死亡慰謝料:本人分+遺族分(人数・扶養で変動)
(2)最低補償・限度額
| 区分 | 限度額の目安 |
|---|---|
| 傷害(治療費・休業損害・入通院慰謝料) | 120万円 |
| 後遺障害 | 75万〜4,000万円(等級による) |
| 死亡 | 3,000万円 |
限度超過分は任意保険や加害者本人への請求で補填します。
(3)過失相殺・その他の減額
- 傷害:被害者過失7割未満は減額なし/7〜10割未満は2割減
- 後遺・死亡:7割未満減額なし、7〜8割未満2割減、8〜9割未満3割減、9〜10割未満5割減
- 素因減額:自賠責は原則適用なし
- 因果関係不明:自賠責は原則50%減を上限とする扱い
被害者過失が大きいときは、自賠責のみでの回収が任意保険経由より有利になるケースも(例:総額150万円・過失4割なら、任意保険だと90万円、自賠責のみだと120万円)。
7. 弁護士基準との比較:7日加算なしでも総額は大きくなりやすい
弁護士基準では7日加算そのものは適用されません。しかし、通院月数ベースの相場表で算定するため、多くのケースで自賠責より大幅に高額になります。
| モデルケース | 自賠責 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 通院のみ・軽傷(30日/実通院15日) | 約12.9万円 | 約19万円 |
| 通院のみ・軽傷(60日/実通院30日) | 約25.8万円 | 約36万円 |
| 入通院・重傷(90日:入30・通30) | 約38.7万円 | 約98万円 |
| 入通院・重傷(180日:入60・通60) | 約77.4万円 | 約165万円 |
7日加算で+3万円前後の伸びが見込めても、弁護士基準へ切り替えれば数万〜数十万円規模で差が出るのが一般的です。












