高齢者の交通事故について
近年、高速道路の逆走、店舗への突っ込み、立体駐車場からの転落など、高齢者ドライバーによる自動車事故のニュースが後を絶ちません。超高齢社会が進む中、高齢者ドライバーは増加する見込みです。また、高齢者ドライバーのなかには認知機能が低下している方も散見されます。認知症患者が事故を起こした場合、自動車保険ではどこまで補償されるのでしょうか?
高齢者ドライバーの割合
2021年時点での日本における高齢者ドライバーの割合について、厚生労働省のデータを基にお伝えします。日本では、高齢者ドライバーは65歳以上を指します。2020年の統計によれば、日本の65歳以上の人口に対する高齢者ドライバーの割合は以下の通りです。
65歳以上の人口に対する高齢者ドライバーの割合:約77.6%
このデータから分かるように、日本において高齢者ドライバーの割合は比較的高いです。高齢者ドライバーは交通安全上の懸念事項とされており、運転能力の低下や高齢者特有の身体的な制約によるリスクがあるため、関連する政策や支援策が実施されています。
よくある高齢者自動車事故について
高齢者による自動車事故は一般的に以下のような特徴があります。
- 歩行者との接触事故: 高齢者の自動車事故の多くは、歩行者との接触事故です。高齢者は運動能力や反応時間の低下がみられるため、横断歩道や歩道での事故が多い傾向があります。
- 交差点での事故: 高齢者の自動車事故の多くは交差点で発生します。交差点において、右折や左折時の判断ミスや交通ルールの誤認などが原因として挙げられます。
- 駐車場での事故: 高齢者による駐車場内での事故も比較的多いです。駐車時の操作ミスや周囲の車両や障害物の認識の誤りが原因となる場合があります。
- 加速とブレーキの誤操作: 高齢者の一部は、加速とブレーキの操作を誤ることがあります。アクセルとブレーキを踏み間違えるなど、ペダル操作のミスが事故の要因となることがあります。
- 信号無視や速度超過: 一部の高齢者は交通ルールの誤認や注意力の低下により、信号無視や速度超過を引き起こすことがあります。これによって交通事故が発生することがあります。
これらの要因により、高齢者による自動車事故が発生することがあります。高齢者の運転には慎重さや注意が必要であり、交通安全教育や定期的な健康診断・認知機能検査の受診が推奨されています。
認知症の運転者が事故を起こした場合、自動車保険の補償対象となるの?
損害保険各社の認知症患者の事故に対する対応が同じではなく、大きく6つのあることがわかりました。
- 運転免許の更新ができていれば、相手側への損害賠償についても、自分自身のケガや自動車に対しても、補償の対象となる
- 認知症だからといって補償の対象外となることはないが、事故の状況によっては保険金の支払いができないことがある
- 相手側への損害賠償については被害者保護の観点から補償の対象とするが、自身のケガや自動車に対しては補償の対象とならない
- 相手側への損害賠償については被害者保護の観点から補償の対象とするが、自身のケガや自動車に対しては事故当時の運転者の状態によってケースバイケースとなる
- ①「認知症だが自動車の運転は可能」と医師に診断された場合は、相手側への損害賠償についても、自分自身のケガや自動車に対しても、補償の対象となる
- ②「認知症により自動車の運転は不可」と医師に診断されたにもかかわらず運転し事故を起こした場合には、相手側への損害賠償については被害者保護の観点から補償の対象とするが、自身のケガや自動車に対しては補償の対象とならない
③医師の診断を受けていない場合にはケースバイケース - 事故時に心神喪失状態の場合に補償はされないが、個別性が高いため絶対とはいえない
- 事故時に心神喪失状態の場合に補償はされないが、個別性が高いため絶対とはいえない
保険会社により、かなり扱いが異なりますね。相手への補償に関しては対象となることが多いようですが、状況によっては保険金の支払いとならないこともあります。認知症と診断されれば運転免許証を自主返納するのはもちろんですが、運転中ひやりとすることが増えた時点で運転しないで暮らしていく方法を検討してみてください。
ただし、具体的な補償対象や条件については、保険契約書や保険会社とのやり取りを確認する必要があります。保険会社に直接問い合わせるか、専門家や弁護士に相談することをおすすめします。
高齢者の運転免許更新の違い
高齢者の運転免許の更新にはいくつかの違いが存在します。以下に一般的な情報をまとめますが、最新の情報を確認するためには、日本の運転免許制度や交通安全関連の法律を参照することが重要です。
- 健康診断の実施: 高齢者(一般的には75歳以上)の運転免許更新には、定期的な健康診断が必要です。免許更新時には、医師の診断書や健康診断結果を提出する必要があります。診断内容や頻度は地域や免許の種類によって異なる場合があります。
- 認知機能検査の実施: 高齢者の一部には、定期的な認知機能検査も求められる場合があります。認知機能検査は、運転に必要な認知能力や判断力を評価するために行われます。検査の結果によっては、運転免許の更新が制限されることもあります。
- 更新期間の短縮: 高齢者の一部は、運転免許の更新期間が通常よりも短く設定される場合があります。例えば、一般的な免許更新は5年ごとですが、高齢者の場合は3年ごとになることもあります。
- 研修の受講: 高齢者の一部には、運転技能の研修を受講することが求められる場合があります。この研修は、交通ルールや安全運転に関する知識の更新を目的としています。
一部地域の追加要件: 地域によっては、高齢者の運転免許更新に追加の要件がある場合があります。詳しくは運転免許センターや地方自治体に連絡して聞くようにしてください。
高齢者事故に関する注意点
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- 健康管理: 高齢者は定期的な健康診断を受け、身体的・認知機能の状態を確認することが重要です。体調不良や認知機能の低下がある場合は、適切な判断をして運転を控えるべきです。
- 運転能力の自己評価: 自身の運転能力を客観的に評価することが重要です。運転に自信がない場合や不安を感じる場合は、適切な対策を講じるべきです。必要に応じて運転技能の研修を受けるなど、自己向上に努めましょう。
- 交通ルールの遵守: 交通ルールを遵守することは必須です。信号や標識の確認、制限速度の守り、安全な車間距離の保持など、適切な運転マナーを心掛けましょう。
- 注意力と集中力の維持: 運転中は集中力を保ち、周囲の状況に注意を払いましょう。スマートフォンや他の娯楽機器の使用は避け、運転に専念しましょう。
- 適切な速度管理: 適切な速度で運転することが重要です。速度超過や周囲の状況に応じた遅速を心掛けましょう。
- 視覚と聴覚のケア: 視力や聴力の低下がある場合は、定期的な検査を受け、必要に応じて補助具を使用するなど、適切な対策を講じましょう。
これらの注意点を順守することで、高齢者の自動車事故を減らし、交通安全を確保することができます。