無職でも慰謝料はもらえる? 結論:慰謝料は職業に関係なく請求可能。注意点は「休業損害」と「逸失利益」
【事実】無職(失業者・専業主婦/主夫・学生・子ども・年金受給者)でも、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料は請求可能です。
【解釈】一方で「休業損害」「逸失利益」は、属性や証拠の出し方で可否・金額が大きく変わります。実務対応が勝負どころ。
目次
- 無職でも慰謝料・損害賠償金をもらえる?
- 慰謝料は職業で変わらない(3基準の整理)
- 無職で重要な「休業損害」「逸失利益」とは
- 属性別:条件と計算方法
- 失業者
- 専業主婦・専業主夫
- 大学生・高校生・子ども
- 年金受給者
 
- よくある悩み(支払い時期/当面資金/拒否対応)
- なぜ弁護士介入で増額・適正化しやすいのか
- 弁護士費用の心配を減らす方法(費用特約/無料相談)
- 出典・根拠
1. 無職でも慰謝料・損害賠償金をもらえる?
    【結論】無職でも慰謝料は請求可・金額は変わりません。
対象:入通院慰謝料/後遺障害慰謝料/死亡慰謝料
対象:入通院慰謝料/後遺障害慰謝料/死亡慰謝料
慰謝料は「精神的苦痛」への補償であり、職業の有無には左右されません。
2. 慰謝料は職業で変わらない(3基準の整理)
| 基準 | 算定主体 | 水準 | 備考 | 
|---|---|---|---|
| 自賠責基準 | 自賠責保険 | 最低 | 入通院日額4,300円(2020/4/1~) | 
| 任意保険基準 | 任意保険各社 | 自賠責~やや上 | 非公開(実務上は低水準提示が多い) | 
| 弁護士基準 | 裁判所・弁護士 | 最高 | 判例集約(通称「赤い本」) | 
※具体例(弁護士基準):通院2ヶ月=軽傷36万円/重傷52万円、通院6ヶ月=軽傷89万円/重傷116万円 等。
3. 無職で重要な「休業損害」「逸失利益」とは
      休業損害
事故で働けず減った収入の補償。
無職でも、家事従事(主婦/主夫)、就労の蓋然性(失業中・学生)があれば請求可。
事故で働けず減った収入の補償。
無職でも、家事従事(主婦/主夫)、就労の蓋然性(失業中・学生)があれば請求可。
      逸失利益
本来将来得られたはずの収入の補償(後遺障害/死亡)。
無職でも、家事従事・将来就労・年金収入等があれば請求可。
本来将来得られたはずの収入の補償(後遺障害/死亡)。
無職でも、家事従事・将来就労・年金収入等があれば請求可。
4-1. 失業者(求職中)
- 条件(休業損害):意思・能力・就労蓋然性(内定、応募実績、職歴、資格等)
- 計算(休業損害):基礎収入×休業日数
 基礎収入=内定先年収/前職年収/賃金センサス平均 等の合理的数値
- 計算(逸失利益):年収×労働能力喪失率×ライプニッツ係数(後遺)
争点化しやすいので、内定通知・応募履歴・職務経歴書等の客観資料を確保。
4-2. 専業主婦・専業主夫
    【事実】家事労働は賃金労働同視。条件なく休業損害・逸失利益の対象。
基礎収入:賃金センサス女性・全年齢平均を用いる運用が一般的。
基礎収入:賃金センサス女性・全年齢平均を用いる運用が一般的。
- 休業損害=(女性全年齢平均の年収÷365)×家事不能日数
- 逸失利益=年収×喪失率×係数(後遺)/死亡は生活費控除を考慮
独居で自分のためだけの家事は対象外になりやすい点に留意。
4-3. 大学生・高校生・子ども
- 休業損害:バイト収入があれば時給等で算定/内定取消・就職遅延は内定先年収や賃金センサスで推計
- 逸失利益:原則認められる(将来就労が見込まれるため)。高校生=男女別平均、大卒見込みなら大卒平均など事情で補正。
- 子ども(中学生以下):休業損害は基本対象外だが、逸失利益は将来就労前提で賃金センサスを基礎に算定。
進学蓋然性(成績・家庭環境等)で大卒平均採用が認められた裁判例もあり。
4-4. 年金受給者
- 休業損害:原則なし(年金は入通院で減らない)
- 後遺障害逸失利益:家事従事や再就職見込みがあれば算定可
- 死亡逸失利益:原則認められる(年金は世帯の生活基盤)。年収=年金額等/生活費控除率は50~70%で高めに設定されがち。
5. よくある悩みと実務対応
      Q1. いつ入金?
示談成立後おおむね2週間目安。後遺あり・死亡事案は半年〜1年超も。
示談成立後おおむね2週間目安。後遺あり・死亡事案は半年〜1年超も。
      Q2. 当面資金が不足
被害者請求で自賠責分の先払い/自分の保険(人身傷害等)の活用も検討。
被害者請求で自賠責分の先払い/自分の保険(人身傷害等)の活用も検討。
      Q3. 休業損害・逸失利益を拒否された
蓋然性資料(内定・応募履歴・資格)+判例・赤い本根拠で反証。弁護士関与で交渉力を補強。
蓋然性資料(内定・応募履歴・資格)+判例・赤い本根拠で反証。弁護士関与で交渉力を補強。
      打ち切り対策
医師の「継続必要」意見書→保険会社へ。打ち切られても自費継続+後日請求。
医師の「継続必要」意見書→保険会社へ。打ち切られても自費継続+後日請求。
6. なぜ弁護士介入で増額・適正化しやすいのか
- 弁護士基準(裁判基準)での請求が通りやすくなる
- 過失割合・蓋然性・家事従事性などの争点を法的根拠で整理
- 証拠収集(診断書・意見書・就労資料)を主導し、漏れなく積算
- 裁判見据えた交渉で任意保険側が譲歩しやすい
7. 弁護士費用の心配を減らす方法
    弁護士費用特約:弁護士費用~300万円/相談料~10万円を保険会社が負担。等級は下がらない。家族契約の特約が使える場合も。
  
特約なしでも、相談料・着手金無料の事務所を選べば成功報酬型での依頼が可能。
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出典・根拠(事実/基準)
- 赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準:裁判基準・相場)
- 自賠責保険支払基準(2020年4月1日改定:入通院日額4,300円 等)
- 賃金センサス(厚生労働省の賃金構造基本統計調査:家事従事者・学生等の基礎収入推計)
- 判例タイムズ(過失割合・修正要素の参照)
【注意】本稿は標準的運用の解説です。個別事案では症状・通院実態・証拠状況・地域実務で金額が変動します。

 
   

 
      
      
      
      
      
      
    
    
   








