妊婦が交通事故にあったら|慰謝料・流産/中絶・出産後の対応と示談のポイント
妊娠中の交通事故は、胎児の安全と母体の治療の両面で不安が大きくなります。本記事では、妊婦でも請求できる慰謝料の基本、流産・中絶・出生後の障害に関する考え方、示談交渉の注意点、そして事故直後〜出産後の実務対応まで、妊娠中ならではの論点を整理して解説します。
目次
- 交通事故で妊婦が請求しうる慰謝料(入通院・後遺障害・死亡)
- 胎児の流産・中絶・障害は慰謝料の対象になる?
- よくある質問(早産時の慰謝料/父親の請求可否)
- 妊婦の示談交渉のポイント(時効・出産後開始・因果関係の立証)
- 妊婦が気を付けるべき治療と受診先(整形外科+産婦人科)
- 弁護士に依頼するメリットと費用特約
注記(重要):本記事は一般的解説です。個別の判断は、主治医・産婦人科医・交通事故に詳しい弁護士へご相談ください。
胎児の流産・中絶・障害は慰謝料の対象になる?
胎児自身の慰謝料請求権は、出生時から発生とされるため(民法上の一般理解)、胎児固有の慰謝料は認められません。一方、流産・中絶により母親(妊婦)・父親が被った精神的苦痛については、両親自身の慰謝料として評価される余地があります。
(1)流産時の慰謝料|増額の考慮要素
- 妊娠期間(週数が進むほど増額傾向)
- 不妊治療の有無、初産か否か、将来の妊娠可能性
- 事故衝撃の程度、他原因の有無、事故〜流産までの期間
実務上、妊婦の慰謝料は150万〜800万円程度の増額が認められた裁判例が報告されています(週数が進むほど高額の傾向)。
(2)中絶時の慰謝料
事故や治療の影響を考慮してやむなく中絶した場合の精神的苦痛は、両親の慰謝料として認められうる一方、金額の相場は画一ではなく、事情総合考慮(週数、年齢・婚姻状況、出産意思、医学的評価など)で決まります。
(3)出生した子に障害が発覚した場合
医学的因果関係が認められると、子の治療費・後遺障害慰謝料・逸失利益等が請求対象となります。因果関係の立証が難しいことも多く、主治医の意見書・検査所見等の医学的資料が鍵になります。
よくある質問
Q. 早産になった場合の慰謝料は?
子に後遺症があれば子固有の損害(治療費・後遺障害慰謝料・逸失利益)を主張可能。母体の帝王切開費用や精神的苦痛についても、事情に応じて増額が検討されます。
Q. 流産・中絶で父親も慰謝料請求できる?
父親の固有の精神的苦痛に対する慰謝料が認められた裁判例があります。もっとも、事案次第で認容額・判断は分かれるため、個別相談が現実的です。
妊婦の受診と治療|安全確保の基本
まずは整形外科+産婦人科で受診
痛み・出血・腹部違和感がなくても早期受診を。軽症でも人身事故で届出し、医療記録を残すと交渉での齟齬を防げます。
妊婦に見られうる要注意症状
- 切迫流産・切迫早産
- 胎盤早期剥離
- 子宮破裂
- 胎児母体間輸血症候群
- 胎児の外傷
妊婦が気を付ける治療
- 麻酔・投薬:産婦人科の指示を前提に安全性を確認
- 物理療法(電気)・強いマッサージ:胎児への影響に配慮し、強度・部位に注意
レントゲン:多くの一般検査は胎児被ばくが臨床上問題にならない範囲とされますが、不安があれば必ず医師に相談し、代替手段の可否を確認しましょう。
弁護士に依頼するメリット
- 弁護士基準での増額交渉(任意保険提示は通常低位)
- 全窓口の一本化で育児・療養への負担軽減
- 後遺障害認定(被害者請求)や医学的立証の伴走
費用特約で自己負担ゼロも
多くの自動車保険の弁護士費用特約で、相談料・弁護士費用が上限内で保険負担(等級は通常非影響)。
家族の特約が使える場合もあるため、契約内容を確認しましょう。












