妊婦が交通事故にあったら|慰謝料・流産/中絶・出産後の対応と示談のポイント






妊婦が交通事故にあったら|慰謝料・流産/中絶・出産後の対応と示談のポイント

妊娠中の交通事故は、胎児の安全母体の治療の両面で不安が大きくなります。本記事では、妊婦でも請求できる慰謝料の基本流産・中絶・出生後の障害に関する考え方、示談交渉の注意点、そして事故直後〜出産後の実務対応まで、妊娠中ならではの論点を整理して解説します。

目次

  • 交通事故で妊婦が請求しうる慰謝料(入通院・後遺障害・死亡)
  • 胎児の流産・中絶・障害は慰謝料の対象になる?
  • よくある質問(早産時の慰謝料/父親の請求可否)
  • 妊婦の示談交渉のポイント(時効・出産後開始・因果関係の立証)
  • 妊婦が気を付けるべき治療と受診先(整形外科+産婦人科)
  • 弁護士に依頼するメリットと費用特約

注記(重要):本記事は一般的解説です。個別の判断は、主治医・産婦人科医・交通事故に詳しい弁護士へご相談ください。

交通事故で妊婦が請求しうる慰謝料

慰謝料は「精神的苦痛」に対する補償で、交通事故では通常次の3区分が検討されます。

  • 入通院慰謝料:入院・通院の精神的苦痛に対する補償
  • 後遺障害慰謝料:等級認定を受けた後遺障害の精神的苦痛
  • 死亡慰謝料:被害者本人+近親者固有の精神的苦痛

入通院慰謝料の目安(弁護士基準)

通院期間 相場(重傷・一般) 相場(軽症・むちうち)
1か月 28万円 19万円
2か月 52万円 36万円
3か月 73万円 53万円
4か月 90万円 67万円
5か月 105万円 79万円
6か月 116万円 89万円

弁護士基準の金額は、交渉や訴訟で主張される相場です。任意保険提示は通常これより低いことが多く、増額交渉が実務上の前提になります。

後遺障害慰謝料の目安

後遺障害等級に応じ、14級=110万円1級=2,800万円まで幅があります。
(例:頚部痛や神経症状の残存で12級=290万円、14級=110万円 など)

死亡慰謝料の目安

被害者の立場 相場(弁護士基準)
一家の支柱 2,800万円
母親・配偶者 2,500万円
その他 2,000万〜2,500万円

胎児の流産・中絶・障害は慰謝料の対象になる?

胎児自身の慰謝料請求権は、出生時から発生とされるため(民法上の一般理解)、胎児固有の慰謝料は認められません。一方、流産・中絶により母親(妊婦)・父親が被った精神的苦痛については、両親自身の慰謝料として評価される余地があります。

(1)流産時の慰謝料|増額の考慮要素

  • 妊娠期間(週数が進むほど増額傾向)
  • 不妊治療の有無、初産か否か、将来の妊娠可能性
  • 事故衝撃の程度、他原因の有無、事故〜流産までの期間

実務上、妊婦の慰謝料は150万〜800万円程度の増額が認められた裁判例が報告されています(週数が進むほど高額の傾向)。

(2)中絶時の慰謝料

事故や治療の影響を考慮してやむなく中絶した場合の精神的苦痛は、両親の慰謝料として認められうる一方、金額の相場は画一ではなく事情総合考慮(週数、年齢・婚姻状況、出産意思、医学的評価など)で決まります。

(3)出生した子に障害が発覚した場合

医学的因果関係が認められると、子の治療費・後遺障害慰謝料・逸失利益等が請求対象となります。因果関係の立証が難しいことも多く、主治医の意見書・検査所見等の医学的資料が鍵になります。

よくある質問

Q. 早産になった場合の慰謝料は?

子に後遺症があれば子固有の損害(治療費・後遺障害慰謝料・逸失利益)を主張可能。母体の帝王切開費用や精神的苦痛についても、事情に応じて増額が検討されます。

Q. 流産・中絶で父親も慰謝料請求できる?

父親の固有の精神的苦痛に対する慰謝料が認められた裁判例があります。もっとも、事案次第で認容額・判断は分かれるため、個別相談が現実的です。

妊婦の示談交渉ポイント(実務)

1) 請求漏れ防止:慰謝料以外の費目も

  • 治療費(整形外科・産婦人科)、通院交通費(必要ならタクシー:領収書保存)
  • 休業損害(就労・家事従事者ともに対象)
  • 後遺障害逸失利益/死亡逸失利益、葬祭費 など

2) 示談は出産後が原則安全

出生後に子の状態が確定。示談成立後の再交渉は困難なため、性急な合意は避けるのが無難です。

3) 消滅時効に注意

類型 時効の起算 期間の目安
人身(後遺障害なし) 事故日 5年
人身(後遺障害あり) 症状固定日 5年
死亡 死亡日 5年

子の障害に関する請求は「損害を知った時」から5年が基本。起算点は事案で争いになり得るため、早期の法的対応を。

4) 因果関係の立証

  • 事故の衝撃(腹部への外力)、他原因の有無、事故からの経過時間
  • 医師の診断書・意見書、エコー所見、入退院記録等の収集

妊婦の受診と治療|安全確保の基本

まずは整形外科+産婦人科で受診

痛み・出血・腹部違和感がなくても早期受診を。軽症でも人身事故で届出し、医療記録を残すと交渉での齟齬を防げます。

妊婦に見られうる要注意症状

  • 切迫流産・切迫早産
  • 胎盤早期剥離
  • 子宮破裂
  • 胎児母体間輸血症候群
  • 胎児の外傷

妊婦が気を付ける治療

  • 麻酔・投薬:産婦人科の指示を前提に安全性を確認
  • 物理療法(電気)・強いマッサージ:胎児への影響に配慮し、強度・部位に注意

レントゲン:多くの一般検査は胎児被ばくが臨床上問題にならない範囲とされますが、不安があれば必ず医師に相談し、代替手段の可否を確認しましょう。

弁護士に依頼するメリット

  • 弁護士基準での増額交渉(任意保険提示は通常低位)
  • 全窓口の一本化で育児・療養への負担軽減
  • 後遺障害認定(被害者請求)や医学的立証の伴走

費用特約で自己負担ゼロも

多くの自動車保険の弁護士費用特約で、相談料・弁護士費用が上限内で保険負担(等級は通常非影響)。
家族の特約が使える場合もあるため、契約内容を確認しましょう。

妊娠中の交通事故でお困りの方へ

示談は一度成立すると原則やり直し不可
母体・胎児の安全を最優先にしつつ、適正額を見極めましょう。

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