通院日数・治療期間と慰謝料(入通院/後遺障害)の関係|計算・注意点・増減要因






通院日数・治療期間と慰謝料(入通院/後遺障害)の関係|計算・注意点・増減要因


通院日数・治療期間と慰謝料の関係(入通院/後遺障害)

入通院慰謝料は「実通院日数・治療期間」を基準に算定。後遺障害慰謝料は等級で決まるが、認定には十分な通院・治療の実態が不可欠です。

人身事故・計算の基礎
最終更新:2025/10

この記事のポイント

  • 入通院慰謝料は実通院日数または治療期間が直接影響(基準により使い分け)。
  • 後遺障害慰謝料は通院日数そのものには連動しないが、通院が少ない/期間が短いと等級が取れず請求不可になり得る。
  • 本稿では、通院日数の数え方治療期間の重要性、3基準別の計算の見方、減額回避の注意点を解説。

むちうちの増額事例

事例の概要

  • 後遺障害等級:14級9号(既認定)
  • 傷病名:むちうち/年代・職業:20〜30代・会社員

結果

提示137万円 → 312万円まで増額。
根拠資料の整備と基準の適用見直しで上積み。

交通事故の慰謝料とは?通院日数との関係

慰謝料は入通院慰謝料(傷害)後遺障害慰謝料死亡慰謝料の3種類。このうち通院日数が関係するのは入通院後遺障害です。

入通院慰謝料は通院日数が直接影響

  • 実通院日数=実際に病院へ行った日数
  • 治療期間=通院開始日〜治癒・症状固定日

どちらで計算するかは基準次第。原則として治療期間重視(後述)。

後遺障害慰謝料は通院日数が間接影響

金額は等級で固定だが、通院が少なすぎる/期間が短いと等級認定に不利→慰謝料請求自体ができない恐れ。

入通院慰謝料の計算方法と通院日数の数え方

3つの算定基準

  • 自賠責基準:最低補償(最も低額)
  • 任意保険基準:各社独自(概ね自賠責に近い)
  • 弁護士基準(裁判基準):最も高額・法的正当性が高い

自賠責基準:実通院 or 治療期間の短い方

4,300円 × 対象日数(対象=治療期間実通院日数×2の短い方)。
「7日加算」等、起算・終了日の特殊取扱いに注意。

例:治療期間90日/実通院50日 → 対象は90日(50×2=100より短い)→ 4,300×90=387,000円

任意保険基準:各社ルール(非公開)

かつての「旧任意保険支払基準」表で計算する運用も。水準は自賠責付近〜やや上。

弁護士基準:治療期間(入院+通院)で算定

軽傷(むちうち・打撲等)は軽傷用表、それ以外は重傷用表。端数は日割り。
ただし通院頻度が極端に低いと、期間ではなく「実通院×係数」(軽傷×3/重傷×3.5等)で評価されることがある。

【通院日数別】通院1〜9か月の相場(弁護士基準)

通院期間 重傷 軽傷
1か月 28万円 19万円
2か月 52万円 36万円
3か月 73万円 53万円
4か月 90万円 67万円
5か月 105万円 79万円
6か月 116万円 89万円
7か月 124万円 97万円
8か月 132万円 103万円
9か月 139万円 109万円
頻度が少なすぎると減額の可能性(例:通院3か月で実通院30日未満 等)。

通院日数の数え方(補足)

  • リハビリ通院は含まれる(症状固定後・示談後は原則対象外)。
  • 事故当日の念のため受診も1日としてカウント可能。
  • 同日に複数病院でも「1日」。
  • みなし加算の余地:ギプスでの自宅安静、入院待期、育児・仕事都合の早期退院等(個別主張が必要)。

後遺障害慰謝料に通院・期間が効く理由

通院が少ないと等級が危ぶまれる

  • 「積極的に通えば治ったのでは?」と評価されやすい。
  • 少ない通院=重症度・持続性への疑義。

治療期間が短いと請求不可の恐れ

一般に6か月未満の治療での等級認定はハードル高(明白な重度後遺を除く)。

代表等級 自賠責(万円) 弁護士基準(万円) ポイント
12級13号 94 290 痛み等の残存を他覚的所見で説明
14級9号 32 110 医学的に症状残存が推測可能

むちうちは平均3か月程度の治療に留まりがち。継続治療+医師所見の蓄積が鍵。

被害者が通院時に気を付けたいこと(減額回避)

  1. 月10日程度を目安に継続通院(過剰通院はNG)。
  2. 治療中は示談に応じない(金額が確定しない/後遺の判断前)。
  3. 治療費打切りは医師の見解を付して継続交渉。やむなく打切りでも健康保険で継続→領収書保全。
  4. 整骨院・接骨院主治医の許可+病院併用、保険会社へ事前連絡。

慰謝料だけでなく、治療費・通院交通費・休業損害・逸失利益など他費目の漏れにも注意。

弁護士介入の意義と費用面

相場(弁護士基準)を獲得するには

  • 被害者本人交渉だと自賠責/任意保険基準で頭打ちになりがち。
  • 弁護士が窓口になると、法的根拠提示×判例相場で増額期待。

費用負担は軽減できる

  • 弁護士費用特約:自己負担ゼロ〜少額で依頼可。
  • 相談料・着手金無料の事務所なら資金負担を抑制。

まとめ

  • 入通院慰謝料は基準に応じて実通院日数/治療期間で算定、弁護士基準は治療期間重視
  • 通院が少ない・期間が短いと後遺障害等級が取りにくく、後遺障害慰謝料は請求困難
  • 任意保険提示は低水準のことが多く、鵜呑みにしない。資料整備と基準の見直しが肝。

初診後からの相談で、通院設計・資料収集・示談戦略を早期に整えましょう。

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