交通事故の「迷惑料」と慰謝料の違い|人身・物損の賠償範囲と請求ガイド






交通事故の「迷惑料」と慰謝料の違い|人身・物損の賠償範囲と請求ガイド


「迷惑料」は原則NG。正しくは“慰謝料”と損害賠償です

交通事故で被害者が法的に請求できるのは「慰謝料」や「実損の賠償」。
人身・物損で何が違う?誰にどう請求する?いつ振り込まれる?を一気に整理。

初めての方にもやさしい実務ガイド
最終更新:2025/10

まず押さえたい要点

迷惑料と慰謝料の違い

迷惑料は法律用語ではなく、加害者の任意支払いの俗称。
慰謝料は法的概念で、被った精神的苦痛の補償として請求可。

人身と物損のちがい

人身事故:慰謝料・治療費・休業損害 等。
物損事故:原則慰謝料なし。修理費・代車使用料・評価損・休車損害などの実損中心。

根拠:民法709条(不法行為責任)…故意・過失により権利または法的利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任。

人身事故で請求できる主な項目

区分 内容 補足
治療関係費 治療費・入院費・入院雑費・看護/介護費・通院交通費 領収・明細で立証
慰謝料 入通院慰謝料/後遺障害慰謝料/死亡慰謝料 基準差に注意(自賠責・任意・弁護士)
休業損害 就労不能による減収補填 会社員:給与資料/主婦:家事労働評価/自営:申告資料
逸失利益 後遺や死亡による将来収入の減少 等級・労働能力喪失率・期間が鍵
加害者の悪質性や不誠実さが強い場合は、慰謝料の増額が認められることがあります(例:暴言・救護義務違反など)。

物損事故で請求できる主な項目

区分 内容 ポイント
修理費用 原状回復のための費用 全損時は時価+諸費用(買替差額)
代車使用料 修理・買替までの必要期間 必要性・相当性の範囲内(一般的に数週間目安)
評価損(格落ち) 事故歴に伴う市場価値の低下分 車種・年式・走行距離・損傷部位の影響大
休車損害 営業用車両の機会損失 タクシー・トラック等の売上/稼働実績で立証

物損では慰謝料は原則なし。ただし例外的に認められる裁判例もあります(ペット等)。

慰謝料はどう請求する?(流れとタイミング)

  1. 初動:救護・警察・相手確認・受診(人身扱いの届出)
  2. 治療:医師指示どおりに継続(頻度・連続性重視)
  3. 症状固定 → 後遺障害申請(該当時)
  4. 示談交渉:金額・過失割合・既払い精算・支払時期
  5. 不成立時:ADR/調停/訴訟
  • 入金時期の目安:示談成立→1〜2週間で振込が一般的。
  • 前倒し手段被害者請求(自賠責分先払い)/仮渡金内払い

請求先の整理と「被害者請求」

請求先はだれ?

  • 相手が任意保険加入:通常は相手方任意保険に一本化(自賠責分も同社がとりまとめ)
  • 相手が無保険加害者本人+自賠責に直接(被害者請求)

被害者請求とは

示談前でも自賠責分のみ先払いを受けられる制度。
支払限度・期限・必要書類の確認が必要。

主な必要書類 発行者
支払請求書 請求者
交通事故証明書 自動車安全運転センター
診断書・診療報酬明細 医療機関
通院交通費明細・休業損害証明 本人/勤務先
(死亡時)死亡診断書・戸籍等 医師/役所

相場の考え方(3基準)と簡易目安

3つの基準

  • 自賠責:最低補償(入通院は日額4,300円×対象日数 など)
  • 任意保険:各社内基準(非公開/自賠責近傍が多い)
  • 弁護士基準:裁判例準拠で高水準

ざっくり目安

  • 入通院(軽傷で通院3か月):自賠責約25.8万円/弁護士基準は50万円前後
  • 後遺障害慰謝料(弁護士基準):14級=110万円12級=290万円1級=2,800万円

相手提示は任意保険基準が中心。弁護士基準での再試算と根拠提示が増額の第一歩。

ケース別の注意点

むちうち等の軽傷

  • 通院頻度・一貫性が重要(中断は減額理由)
  • 軽傷でも交渉で2桁万円〜の増額余地あり

通院日数が少ない

  • 長期でも実通院が少ないとみなし短縮され得る
  • 医師指示・通院困難事情の記録を残す

主婦・個人事業主

  • 主婦:家事労働の休業損害は平均賃金ベース
  • 自営:申告資料・実績で日額根拠を固める

相手が無保険/自転車

  • 加害者本人への請求+被害者請求で組み立て
  • 公正証書化・内容証明などの実務対応も検討

過失割合は受取額を直撃。類型ごとの基本割合+修正要素で妥当性チェック、間違いは根拠を持って修正要求。

よくある質問(Q&A)

Q. 迷惑料だけを別立てで請求できますか?

原則できません。被害は慰謝料や実損として法的に整理し、相手に請求します。

Q. 慰謝料はいつ振り込まれますか?

示談成立→社内処理を経て1〜2週間が一般的。早期は被害者請求・仮渡金・内払いを検討。

Q. 自分で交渉しても大丈夫?

可能ですが、基準差・過失割合・後遺等級・時効管理が難所。弁護士基準での再試算と書類整備が肝です。

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