交通事故の慰謝料に税金はかかる?非課税と課税の違い・注意点を徹底解説
交通事故で慰謝料や保険金を受け取るとき、「これって税金がかかるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
結論から言えば、交通事故の慰謝料は原則として非課税です。
ただし、一部の例外では課税対象になる場合もあります。
この記事では、所得税法を根拠にした非課税の理由から、税金がかかるケース、確定申告の必要性までを解説します。
1. 慰謝料は原則として非課税
交通事故で受け取る慰謝料は、精神的苦痛を補うための金銭的補償であり、所得ではなく「損害の回復」です。
そのため、税金はかかりません。
所得税法第9条(抜粋)
「心身に加えられた損害」または「突発的な事故により資産に加えられた損害」に基づく保険金・損害賠償金は、所得税を課さない。
つまり、事故でマイナスになった分を取り戻す性質のものは、利益ではないと見なされ、非課税となります。
2. 慰謝料以外の損害賠償も基本は非課税
以下の損害賠償も、事故がなければ得られていた利益を補う目的のため、非課税扱いとなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 休業損害 | 事故で働けなかった期間の収入補償 |
| 逸失利益 | 後遺障害などで将来的に失う収入の補償 |
| 治療費・通院交通費 | 実際にかかった医療関連費用 |
| 修理費 | 壊れた車や物の修理・代替費用 |
加害者・被害者いずれの保険(自賠責保険・任意保険・人身傷害保険など)から支払われた場合も、原則として非課税です。
3. 課税されるケース(例外)
損害を補填する範囲を超えて「利益を得た」とみなされる場合には、税金がかかります。
注意|税金がかかる主なケース
- ① 売り物・事業用商品の弁償代を受け取った → 所得税
- ② 勤務先から給与と同質の見舞金を受け取った → 所得税
- ③ 高額すぎる慰謝料・見舞金 → 贈与税
- ④ 慰謝料受け取り前に被害者が死亡 → 相続税
① 売り物の弁償代(所得税)
配送中や販売用の商品が事故で壊れ、その代金を受け取る場合は「売上」とみなされ、事業所得として課税されます。
② 勤務先からの給与扱いの見舞金(所得税)
会社から給与と同様の性質をもつ見舞金を受け取ると、収入扱いとなり課税対象です。給与明細で支払われた場合などは確定申告が必要です。
③ 高額すぎる慰謝料や見舞金(贈与税)
ケガの内容に比べて明らかに高額な慰謝料は、贈与税が課される可能性があります。
年間110万円を超える贈与額は申告・納税が必要です。
④ 慰謝料受け取り前に被害者が死亡(相続税)
示談成立後や裁判確定後に慰謝料を受け取る前に被害者が亡くなった場合、遺族がその請求権を相続します。
このときは相続税の対象となります。
4. 死亡保険金で課税されるケース
交通事故で亡くなった場合に支払われる死亡保険金も、契約関係によって課税区分が異なります。
| 税金の種類 | 被保険者 | 保険料負担者 | 保険金受取人 |
|---|---|---|---|
| 所得税 | A | B | B |
| 相続税 | A | A | B |
| 贈与税 | A | B | C |
たとえば「被保険者=夫」「保険料負担者=妻」「受取人=子ども」であれば、贈与税の対象です。
逆に、加害者側の保険(自賠責・任意保険)から支払われる保険金は非課税です。
5. 人身傷害保険で課税されるのは「過失分のみ」
人身傷害保険は、過失割合に関係なく補償が受けられる保険ですが、被害者側の過失割合分については課税されます。
例:過失割合「被害者40:加害者60」/損害総額1億円の場合
→ 被害者の過失分4000万円のうち、保険金として支払われた部分が課税対象
6. 税金がかかる場合の確定申告
課税対象の慰謝料や保険金を受け取った場合は、確定申告が必要です。
申告を怠ると延滞税・加算税などのペナルティが発生するおそれがあります。
| 課税項目 | 申告区分 |
|---|---|
| 壊れた売り物の弁償代 | 事業所得に加算 |
| 給与扱いの見舞金 | 給与所得に加算 |
| 高額すぎる慰謝料・見舞金 | 一時所得に加算 |
なお、贈与税や相続税がかかる場合は、別途税務署での申告が必要になります。
7. 非課税限度額の目安
| 税金の種類 | 非課税限度額 |
|---|---|
| 所得税 | 年間20万円以下(副業含む場合) |
| 贈与税 | 年間110万円まで非課税 |
| 相続税 | 3000万円+600万円×法定相続人の数 |
上限を超える場合は、税理士や専門家に相談するのが確実です。
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