交通事故の示談交渉で損をしないための完全マニュアル






交通事故の示談交渉で損をしないための完全マニュアル


被害者の「損」をゼロに近づける実務ガイド

交通事故の示談交渉で損をしないための完全マニュアル保存版

示談は「相手の提示額に同意した瞬間」ほぼ確定します。
いったんサインすれば原則やり直しはできません。
本マニュアルは、正しい順序・必要書類・増額の根拠作り・NG行為の回避を、はじめての方にもわかりやすく体系化。
最後に、弁護士費用特約を活用して自己負担0円で増額交渉する導線まで用意しています。

1. まず全体像|「治療→固定→算定→交渉→合意」の順番を崩さない

段階 やること ポイント
① 治療 専門科受診、画像検査、通院継続 診療録・紹介状・検査所見を集める
② 症状固定 主治医判断で固定(治癒or固定) 早すぎる固定は損。主治医の見解を尊重
③ 算定 慰謝料(入通院/後遺)、休業損害、逸失利益ほか 自賠責/任意/弁護士基準を横並び比較
④ 交渉 医学的・法的根拠を添えて増額主張 書面主義。感情論を排しデータで詰める
⑤ 合意 示談書の条項精査(清算条項に注意) サイン前に第三者レビュー(推奨:弁護士)

重要:「治療完了前の示談」「固定前の一時金合意」は、のちの増額余地を狭めます。順番を守ることが最大の防御です。

2. 準備するエビデンス|あとから増額の根拠になる書類

  • 診療録(カルテ)、検査結果(X線/MRI/CT)、処方内容の履歴
  • 主治医の意見書・後遺障害診断書(固定後)
  • 通院実日数の記録、通院交通費の領収書
  • 休業損害の証明(源泉徴収票、給与明細、休業証明)
  • 家事労働の実態メモ(主婦/主夫・同居家族のサポート状況)
  • 事故状況資料(実況見分調書、物損写真、ドライブレコーダー)

「言った/言わない」ではなく、「データで残す」が基本。整っていると交渉が一気に有利です。

3. 提示額を鵜呑みにしない|3基準の「幅」を必ず比較

慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの算定軸があり、
一般に弁護士基準>任意保険基準≧自賠責基準の序列になります。
増額交渉はこの「幅」を根拠化する作業です。

基準 位置づけ 備考
自賠責基準 最低限の補償 法律上の下限。上限超は任意保険で補填
任意保険基準 保険会社内部の目安 非公開。自賠責と同等〜やや上が多い
弁護士基準 裁判例ベース 過去相当額の実績が根拠。最高水準

保険会社担当者の「これが限界です」は、しばしば任意保険基準の限界に過ぎません。
「弁護士基準」で算定のうえ、その根拠(症状、通院、検査所見、生活影響)を添えて主張しましょう。

4. NG集|やってしまうと一気に不利になる行動

  • 治療中に「もう大丈夫です」と担当者へ口頭連絡
  • 固定前に一括示談・清算条項へサイン
  • 通院を自己判断で中断(「症状軽微」扱いの口実に)
  • SNSで過度なアクティビティ投稿(痛み否定の証拠化)
  • 電話のみで交渉を完結(記録が残らない)

示談書の清算条項(債権債務なし)は特に要注意。サインすれば原則蒸し返せません。必ず第三者チェックを。

5. 提示額の上げ方|論点マップと主張テンプレ

論点マップ

  • ① 入通院慰謝料:期間・頻度・治療内容(物理療法/投薬/ブロック)
  • ② 後遺障害慰謝料:等級の妥当性(神経症状・可動域制限・画像所見)
  • ③ 休業損害:賃金センサス/前職収入/就労実態(主婦・学生含む)
  • ④ 逸失利益:労働能力喪失率・期間・ライプニッツ係数
  • ⑤ 実費:通院交通費、診断書代、装具費、将来介護費 等

主張テンプレ(書面)

件名:損害賠償額の再検討に関する申し入れ(被害者:氏名、事故日:YYYY/MM/DD)
貴社ご提示額は任意保険基準に基づくものと理解しております。
一方、当方の傷病名(診断書同封)・治療期間・通院頻度・検査所見(MRI所見同封)・生活上の支障(別紙)に照らせば、
弁護士基準による算定が相当と考えます。

【求める再算定項目】
1. 入通院慰謝料:通院実日数XX日、期間XXヶ月 → ○○円(弁護士基準表)
2. 後遺障害慰謝料:等級○級 → ○○円(基準額)
3. 休業損害:基礎収入○○円/日 × 休業日数 ○○日 → ○○円
4. 逸失利益:年収○○円 × 喪失率○% × 係数○○ → ○○円

つきましては、添付資料に基づき再見積をご提示ください。文書でのご回答をお願い申し上げます。

6. 症状固定・後遺障害認定で増額しやすくするコツ

  • 固定時期は主治医の判断に依拠(早すぎる固定は不利)
  • 後遺障害診断書は自覚症状+客観所見(画像/徒手検査/可動域)を両立
  • 神経症状は経過記録(疼痛部位・強度・日常制限)を日誌化
  • むちうち等は画像陰性でも、整合する神経学的所見の丁寧な記載で補強
  • 被害者請求方式を検討(提出書類を自分で精査できる)

後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料+逸失利益が加算され、総額が一気に跳ね上がります。書類勝負です。

7. ケース別アクション|軽傷〜重傷まで

ケース 優先アクション 期待効果
むちうち(非骨傷) 通院間隔を詰め、所見記録/徒手検査を累積 入通院慰謝料底上げ、後遺障害等級の可能性確保
骨折 画像の経時変化と機能障害を丁寧に追跡 逸失利益の喪失率高めで評価されやすい
重度後遺 将来介護費・住宅改修・装具更新費の積み上げ 長期総額での大幅増額
主婦/主夫 家事労働の実態メモ、賃金センサス適用 休業損害/逸失利益を適正算定
学生 内定書/就学状況/進路見込みの資料化 将来収入見込みでの逸失利益主張

8. 120万円の壁|ここを超えると交渉は厳しくなる

傷害部分の自賠責上限120万円を超えると、超過部分は任意保険の支払い。
任意保険側は支出増となるため、交渉は硬化しやすくなります。
この段階からは書面化と根拠提示が必須。場合により弁護士同席で短期決着を狙います。

9. よくある質問(FAQ)

Q. 弁護士に頼むと相手の心象が悪くなりませんか?
A. 問題ありません。実務上は「窓口の明確化」で処理がスムーズになります。

Q. いつ相談すべき?
A. 「固定前」が理想。固定と等級設計から伴走できると総額が変わります

Q. 弁護士費用は?
A. 弁護士費用特約があれば自己負担0円が一般的。等級にも影響しません。

10. まとめ|示談は「準備した人」から勝つ

  • 順番を守る:治療→固定→算定→交渉→合意
  • 証拠で語る:カルテ・画像・日誌・領収書・意見書
  • 基準で比べる:任意保険の「限界」は弁護士基準の限界ではない
  • サイン前レビュー:清算条項は第三者チェック
  • 特約を使う:費用負担の不安をゼロに

今日できることは、記録を始めること。明日からの交渉が変わります。

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本記事は一般的な実務手順の解説です。個別事情によって最適解は異なります。示談書サイン前に専門家確認を推奨します。

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