交通費について|通院・転院・付添いまで「必要かつ相当」な範囲で認められる実務ガイド






交通費について|通院・転院・付添いまで「必要かつ相当」な範囲で認められる実務ガイド


交通費について

結論|通院交通費は「必要かつ相当」なら請求可能

交通事故に伴う通院・転院・検査などの交通費は、原則として損害賠償の対象です。ポイントは必要性(その移動が治療に必要だったか)と相当性(交通手段・金額が妥当か)。公共交通機関、自家用車(距離に応じた算定)、タクシー、駐車場代、高速料金、フェリー等も、条件を満たせば認められます。福岡の事故動向は福岡県警 交通事故統計も参考になります。

救急車での搬送は原則無料(公的救急)。その後の通院・リハビリ等の交通費について、自賠責の被害者請求で先行回収し、不足分は任意保険等で精算するのが実務的です。

対象となる主な交通費と判断基準

手段 対象例 認定のポイント
公共交通機関 バス・電車・地下鉄・フェリー等 最短または合理的な経路。IC履歴/切符の保存
自家用車 通院・検査・リハビリ・薬局 走行距離×距離単価+駐車場代・高速料金(合理性が前提)
タクシー 疼痛・歩行困難・雨天夜間・公共交通の途絶 必要性の説明(医師の所見や移動困難の事情)。領収書必須
付添い交通費 未就学児・高齢者・重症者の付き添い 医療上または安全上の必要性。領収書/IC履歴
転院・専門医受診 紹介状のある専門外来・画像検査施設 主治医の紹介や必要性の記録で遠方も相当性を確保

「ついでの買い物」「観光を含む寄り道」「著しく遠回りな経路」は否認リスクが高い。治療に必要な最短合理経路を心がけてください。

証拠の集め方|認められるための3点セット

① 経路と回数の整合性

  • 通院日・医療機関名・科目・目的(診察/リハ/検査/薬)を日誌化
  • 予約票・会計明細・お薬手帳の記録で証跡を補強

② 金額の裏付け

  • 公共交通:ICカード利用履歴・切符・定期区間外証跡
  • タクシー:領収書(日時・区間・金額が読めるもの)
  • 自家用車:走行距離メモ(地図アプリの距離・往復/片道を明示)+駐車券・高速料金レシート

③ 必要性の根拠

  • 歩行困難・痛み・ふらつき・公共交通の乗継ぎ困難などを受診記録に残す
  • 転院の際は紹介状・医師の指示・専門性の説明を保管

「距離単価」等の細目は保険会社や時期・社内基準で運用が異なることがあります。見解差が出たら算定根拠の提示を依頼しましょう。

よくある否認理由と切り返し方

事例1:タクシーは原則不可と言われた

切り返し:痛み・歩行困難・雨天夜間・乗り換え困難・バス間引き等の事情を提示。医師の「長距離歩行不可」「転倒リスク」記載があれば強力です。

事例2:自家用車の距離が過大だと言われた

切り返し:地図アプリのスクリーンショットで最短経路距離を提示。渋滞・工事・通行止め等の理由で経路が変わる場合はメモ化。

事例3:駐車場代・高速代は認めないと言われた

切り返し:公共交通と所要時間・乗換回数を比較し、通院の合理性を説明。妥当額・妥当経路であれば認定余地あり。

事例4:付添い交通費は対象外と言われた

切り返し:未就学児/高齢者/重症者等で付添いが医療上・安全上必要であることを具体的に説明(医師所見・受付の付添い記録等)。

請求の流れ|先行回収と最終清算

  1. 書類整理:IC履歴・領収書・距離メモを時系列にファイリング
  2. 自賠責の被害者請求:治療費・通院交通費・慰謝料等を示談前に先行回収
  3. 任意保険で本体交渉:過失割合・交通費の相当性・医証と整合を確認
  4. 人身傷害・搭乗者傷害:不足分や定額給付で補完(約款の調整条項を確認)

請求順序控除の関係で最終受取が変わります。全体設計を行い、根拠資料を先に固めてから申請を。

ケース別メモ|福岡でよくある相談

  • 市内リハビリ高頻度:バス+徒歩が困難ならタクシーを併用。必要性の記録を残す
  • 郊外〜都市部の通院:自家用車+高速利用は通院時間短縮の合理性を説明
  • 紹介状による専門医受診:遠方でも必要性があれば相当性が認められやすい

地域状況の把握には福岡県警 交通事故統計をご確認ください。

チェックリスト|サイン前に最終確認

  1. 通院日と交通費の記録(日誌・IC・領収書・距離メモ)が揃っている
  2. タクシーの必要性が医証・事情で説明できる
  3. 自家用車の経路・距離・駐車場・高速代の根拠がある
  4. 付添い交通費の必要性が明確(対象者・理由・医療側記録)
  5. 自賠責で先行回収し、任意保険で過不足を清算する設計
  6. 示談書の清算条項の意味を理解している

ミニ事例|福岡市・40代女性(むち打ち)

通院初期は歩行困難でタクシー利用。医師が「長距離歩行不可・転倒リスク」と記載。中盤からは自家用車に切替(距離メモ・駐車券保存)。被害者請求で先に一部回収し、任意保険協議でタクシー分の必要性・自家用車の相当性が認められ、全額認定となった。

事故後のリハビリ・ボディケアもお忘れなく

通院頻度・期間は機能回復の設計で変わります。無理のない移動手段を選びつつ、からだを整えましょう。
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領収書・IC履歴・距離メモを揃えて、先に申請しましょう

交通費は証拠の質で決まります。書類の棚卸し→自賠責で先行回収→任意保険で清算の順に。修理・代車は専用LP、制度・書類整理はジコまどへ。

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