休業損害補償について






休業損害補償|給与・自営業・家事・パートまで網羅する実務ガイドと対応フロー


休業損害補償

概要|休業損害とは「事故がなければ得られたはずの収入」の補填

交通事故によって就労ができなかったために発生した収入の減少分が「休業損害」です。会社員・パート/アルバイト・自営業・フリーランス・家事従事者(専業主婦/夫)・学生アルバイトなど、就労の形態を問わず補償の対象になり得ます。算定は「基礎収入 × 休業日数(または減収割合)」が基本形。立証は書類と医証の精度で決まります。

休業損害は、自賠責(被害者請求)で先行回収し、足りない分は任意保険の対人賠償人身傷害で補填する設計が有効です。福岡の統計動向は福岡県警 交通事故統計もご参照ください。

算定の基本式とケース別ポイント

1) 給与所得者(正社員・契約社員・パート)

基礎収入=事故前3か月平均の支給額(日額)が起点。賞与・各種手当の扱いは就業実態に応じて加味します。

  • 日額の目安:(直近3か月の総支給額 ÷ 90日)
  • 必要書類:給与明細(3か月〜)、源泉徴収票、勤務先の休業損害証明書、就業規則/シフト表
  • 留意点:欠勤・有給・時短の区別、テレワーク可否、軽作業復帰の時期を明確化

2) 自営業・フリーランス

売上は変動するため、確定申告書・売上帳・請求書・入金履歴などで実収入を立証します。必要に応じて前年/前々年の平均、事故直前のトレンド、代替人件費や外注費の増加も反映。

  • 基礎収入:(申告上の事業所得 ÷ 365日)× 休業(減収)日数 など
  • 必要書類:確定申告書一式、損益計算書、売上台帳、発注書・納品書・請求/入金データ、代替費用の領収書
  • 留意点:「顧客離反の影響」や「案件喪失の具体例」をメモで残すと説得力が増します

3) 家事従事者(専業主婦/夫)

家事労働は労務の提供価値として評価されます。家族構成・年齢・家事分担・育児/介護の有無等で日額を算定。家事代行費の実支出がある場合は領収書で立証。

  • 必要書類:住民票(世帯)、家事分担表、家事代行/シッターの領収書、育児・介護の実態メモ
  • 留意点:家事能力低下(買物・調理・掃除・洗濯・送迎)の具体的制限と期間を記録

4) 学生・ダブルワーク・短期雇用

アルバイトは実シフト・直近の勤務実績で立証。内定者・就職活動中は将来収入の蓋然性が論点。ダブルワークは各勤務先分を合算し、重複控除に注意。

部分休業(時短・軽作業)時は「減収額」で算定します。完全休業だけが休業損害ではありません。

必要書類一覧(チェックリスト)

区分 主な書類 補足
医療 診断書、診療明細、症状固定時の意見書 就労制限・安静指示・復職条件があると強い
勤務・収入 休業損害証明書、給与明細、源泉徴収票、シフト表 自営業は確定申告、売上帳、請求/入金履歴
交通・雑費 通院交通費(IC履歴/領収書/走行距離メモ)、駐車代 領収証や履歴を「日付順」で保存
家事・育児 家事分担表、家事代行・シッター領収書 家事能力低下の具体例をメモ化

請求ルートの設計|順序で総受取が変わる

  1. 自賠責(被害者請求)で先行回収:示談前でも治療費・休業損害・慰謝料の一部を直接請求可能(上限あり)。ジコまどで書類の棚卸しを。
  2. 任意保険の対人賠償で本体交渉:過失割合・医証・収入立証で増減。裁判基準との比較を前提に協議。
  3. 人身傷害特約:約款基準での補填。過失不問でカバーされる設計が多いが、他保険との調整条項に注意。
  4. 搭乗者傷害:定額型。別枠請求で迅速化を図る。

請求先の順番併用の可否は約款次第。先にどこへ出すと総額が有利か、戦略を決めてから申請しましょう。修理・代車に関する実務はこちらのLPもご活用ください。

交渉で揉めやすい論点と切り返し方

① 医師の就労制限が曖昧

→ 主治医に「就労制限内容(禁止動作・重量・姿勢・連続作業時間)」「見込期間」「段階的復職条件」を記載いただく。必要なら職務記述書(Job Description)を提示して実務との整合を図る。

② 自営業の売上が微増で減収が見えにくい

→ 事故前後の粗利・外注費・人件費の推移で「労働投入の代替コスト増」を説明。受注見込みの喪失はメール・発注書で示す。

③ 家事労働の評価を低く見積もられる

→ 家族構成・未就学児の有無・送迎や買物の距離などを定量化。家事代行/シッター領収書があれば強証拠。

④ パートのシフト減が本人都合と指摘される

→ 事故後の体調報告と店舗側のシフト調整メモを確保。LINE・メールも保存し「健康上の合理的配慮」による変更であることを示す。

交渉は電話より書面。メールで「事実→根拠→要望」をセットで提出し、回答を記録に残しましょう。

対応フロー|今日からできる実務手順

  1. 初診〜早期受診:当日または速やかに整形外科受診。診断書と就労制限の有無を確認。
  2. 記録開始:通院日、痛みの程度、できない家事・業務、欠勤/時短の実績を日誌化。
  3. 書類の収集:給与明細・シフト表・確定申告書・売上帳・家事代行の領収書等を時系列保存。
  4. 請求設計:自賠責(被害者請求)→対人→人身傷害→搭乗者傷害の順でドラフトを作成。
  5. 提出と追補:不足指摘は即日追補。電話は議事メモを残し、要点はメールで再確認。
  6. サイン前最終チェック:内訳(基礎収入・日数・控除・係数)と清算条項を精査。

ミニ事例|福岡の会社員Aさん(30代)

追突事故で頚椎捻挫。主治医の就労制限を得て、自賠責へ被害者請求で休業損害の一部を先行回収。勤務先の休業損害証明書とシフト調整のメモで実損を立証し、対人賠償で初提示から+28%増額。通院交通費はIC履歴・駐車券でフル認容。締めは清算条項の範囲を確認してサイン。

増額のカギは、就労制限の具体性勤務実績の証跡化でした。

事故後のリハビリ・ボディケアもお忘れなく

休業日数を短縮し、復職をスムーズにするには、適切なケアと機能回復の設計が重要です。
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