レッカー費用と代車料







レッカー費用と代車料

1. レッカー費用|原則は1回限りの必要最小限

事故で車が自走できない場合、修理工場などへ搬送する際に発生するのがレッカー費用です。
家庭用車両では1~2万円前後が一般的で、比較的トラブルは少ない項目です。

主な注意点

  • 自走できる場合:安全上問題がなければレッカー費用は認められません。
  • 一次レッカーのみ:事故現場→修理工場の搬送が基本。二次レッカー(修理工場→別工場など)は、必要性の立証がなければ否認されます。
  • 搬送先は最寄りの修理工場:遠方への搬送は「必要性なし」と判断される場合があります。

事故現場で「自走可否」が微妙な場合は、警察や修理業者にその場で相談するのが安全です。無理な自走は二次被害や過失評価につながる恐れもあります。

2. 代車料|最もトラブルが多い物的損害

代車料とは、修理や買替期間中にレンタカー・代車を使用した際の費用です。
ただし、裁判実務では「厳しい条件」の下でしか認められません。ここでは代表的な4つの条件を解説します。

(1) 実際に利用・支払っていること

仮定的な代車料(使っていないが借りたことにする)は認められません。
実際に請求が発生している、もしくは支払い義務がある状態であることが前提です。

修理費は見積もりでも損害とみなされるのに対し、代車料は実支出・実契約が必要である点が異なります。

(2) 同等グレード以下の車両であること

元の車両に比べて明らかに高級な代車(例:外車・高級SUVなど)は認められません。
「同等または下位グレード」が原則です。

業務上どうしても高級車を使用する必要がある場合は、職業・用途の立証資料(営業記録・顧客対応要件など)が求められます。

(3) 利用の必要性(営業・生活上の不可欠性)

単なる「不便」では代車料は認められません。
通勤・営業・介護・通院など、車の利用が生活や業務に不可欠な事情が必要です。

保険会社との示談交渉では柔軟に認められる場合もありますが、裁判では厳格化されます。

(4) 必要な期間の範囲内であること

修理・買替のための合理的期間に限定されます。長期の使用は賠償対象外となることがあります。

状況 認められやすい期間 備考
修理可能な場合 約1〜2週間 修理業者の工期・部品調達期間を基準に判断
全損・買替が必要な場合 約3〜4週間 購入・登録・納車手続の実情を考慮

代車期間が長期化した場合、保険会社が「打ち切り通知」を出すケースもあります。
その前に弁護士へ相談し、修理・買替の進捗を記録に残すことが重要です。

3. 保険会社の「無過失限定ルール」に注意

一部の保険担当者が「加害者が100%悪い場合しか代車料は払えない」と説明するケースがありますが、これは誤りです。

過失割合がある場合でも、被害者側の過失分を控除した上で代車料は請求可能です。
「無過失限定」などの独自ルールは法的根拠がなく、誤案内であることを理解しておきましょう。

担当者と話が噛み合わない場合は、上席担当や弁護士を通じて正式回答を求めるのが安全です。

4. よくあるトラブルと防止策

  • 修理期間が長引き、途中で代車料を打ち切られた
    → 修理工場の見積書・部品納期証明を保管しておく。
  • 高額な代車を借りたため一部しか賠償されなかった
    → 借入時に「同等車両で十分」と確認を取る。
  • 保険担当に「払えない」と言われた
    → 法的根拠を確認し、必要に応じて弁護士を介入。

トラブル防止の最善策は、修理・代車の契約内容をすべて書面化することです。
契約書・請求書・見積もりは必ずコピーを手元に残しましょう。

5. まとめ|代車料は「条件の4本柱」を守ることが重要

条件 内容 ポイント
① 実際に利用・支払 架空利用は不可 請求書・領収書を必ず残す
② グレード 同等車または下位車 高級外車代車は避ける
③ 必要性 営業・通院などの不可欠性 利用目的を明確化
④ 期間 修理・買替の合理的期間 長期化は要説明

代車料トラブルで困ったら

保険会社との交渉や「代車期間の打ち切り」などのトラブルは、早期の法的サポートで防げます。
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