交通事故の慰謝料は「基準」で変わる
自賠責・任意保険・弁護士(裁判)で金額差は数十万〜数千万円。計算のしかたと、相場どおり受け取る道筋をまとめました。
3つの計算基準(まずは全体像)
自賠責基準
最低補償。4,300円×対象日数(対象日数=治療期間と実治療日数×2の短い方)。
任意保険基準
各社独自・非公開。自賠責と同等〜やや高い程度。
弁護士基準(裁判基準)
裁判例準拠で相場とされる。入通院は算定表、後遺障害・死亡は基準額が明確。
慰謝料が発生するのは人身事故が原則。物損のみは慰謝料対象外(例外的に裁判例あり)。
(1)入通院慰謝料|基準ごとの計算方法
自賠責基準
4,300円×対象日数。対象日数=「治療期間」か「実治療日数×2」の短い方。例:治療30日・実治療8日なら対象16日→68,800円。
傷害分は他費目含め120万円が自賠責の上限。超過部分は任意保険で調整。
任意保険基準
社内基準(非公開)。かつての統一表に準拠した運用も。
弁護士基準
算定表の軽傷用/重傷用を使い、入院月数×通院月数から決定。端数は日割り。通院が長期で頻度が極端に低い場合などは調整されることあり。
| 例 | 自賠責 | 弁護士基準の目安 |
|---|---|---|
| 軽傷・通院3か月(入院なし) | 25.8万円※ | 53万円 |
| 重傷・入院1か月+通院6か月 | 90.3万円※ | 149万円 |
※自賠責は「最有利条件」で概算。実通院が少ないとさらに低額になります。
(2)後遺障害慰謝料|等級別の相場
| 等級 | 自賠責(万円) | 弁護士基準(万円) |
|---|---|---|
| 1級 | 1,150 | 2,800 |
| 2級 | 998 | 2,370 |
| 3級 | 861 | 1,990 |
| 4級 | 737 | 1,670 |
| 5級 | 618 | 1,400 |
| 6級 | 512 | 1,180 |
| 7級 | 419 | 1,000 |
| 8級 | 331 | 830 |
| 9級 | 249 | 690 |
| 10級 | 190 | 550 |
| 11級 | 136 | 420 |
| 12級 | 94 | 290 |
| 13級 | 57 | 180 |
| 14級 | 32 | 110 |
認定は等級で金額が大きく変動。書類精度(診断書・画像所見・日常生活状況)を高める戦略が重要。
(3)死亡慰謝料|基準ごとの目安
| 被害者の立場 | 自賠責(万円)※ | 弁護士基準(万円) |
|---|---|---|
| 一家の支柱 | 最大1,350(本人400+遺族数+扶養加算) | 2,800 |
| 配偶者・母親 | 同上の範囲内 | 2,500 |
| その他(独身/子など) | 同上の範囲内 | 2,000〜2,500 |
※遺族人数・扶養の有無で加算。自賠責と弁護士基準の差はしばしば1,000万円超。
ケース別の簡易計算例
むちうち(軽傷)通院1〜6か月
| 通院期間 | 自賠責 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1か月 | 12.9万円 | 19万円 |
| 3か月 | 38.7万円 | 53万円 |
| 6か月 | 77.4万円 | 89万円 |
後遺症が残り14級/12級なら後遺障害慰謝料(110万/290万)が別途加算可能。
骨折(重傷)入院1か月+通院3〜9か月
| 治療経過 | 自賠責 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 入1+通3 | 51.6万円 | 115万円 |
| 入1+通6 | 90.3万円 | 149万円 |
| 入1+通9 | 129万円 | 170万円 |
等級(例:10級/12級など)で後遺障害慰謝料・逸失利益が大きく増減。
かんたん相場チェック
弁護士基準の概算は「慰謝料計算機」で素早く把握できます。入院/通院期間や等級などを入れるだけでOK。
注意:過失相殺・通院頻度・素因減額など個別事情で上下します。精緻な目安は専門家へ。
適正額に近づけるコツ(計算以外が大事)
- 証拠を揃える:診断書・画像所見・カルテ、事故証明、ドラレコ、領収書類。
- 通院の質と頻度:初診は早く、以降は医師指示に沿う。整骨院は医師の関与が安全。
- 過失割合の再検討:映像・判例で反証。1〜2割の修正でも総額にインパクト。
- 等級戦略:後遺が疑われるなら被害者請求で書類精度を上げる。
慰謝料だけじゃない:請求漏れ防止チェック
- 治療費・通院交通費・入院雑費・付添費
- 休業損害(会社員/主婦/個人事業主で計算法が異なる)
- 逸失利益(後遺障害)・将来介護費・住宅/車改造費
- 物損(修理費、代車費用、評価損、休車損害)
弁護士に依頼する意味(相場へ引き上げる)
- 弁護士基準で再計算し、根拠資料を添えて交渉。
- 裁判リスクを相手に意識させ、示談で8〜9割水準へ。
- 時効管理・書類精度・損益相殺/既払い整理まで一貫対応。
弁護士費用特約の活用で自己負担ゼロ〜小額のケース多数。家族名義の特約が使える場合も。
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