警察を呼んでいないけど今から人身事故に切り替えできる?正しい対応と注意点
事故直後は「大丈夫」と思っても、数時間〜数日後に首・腰の痛み(むち打ち等)が表れるのは珍しくありません。結論:医師の診断書があれば、事故後でも物損→人身への切替は可能です。ただし、遅れるほど因果関係の立証が難しくなり、補償が受けにくくなるため早期対応が必須です。
1. 警察を呼ばなかった場合の問題点(法的・保険実務)
- 報告義務:交通事故の当事者は警察へ報告義務があります。警察届出は交通事故証明書発行の前提で、保険金支払いの基本資料になります。
- 人身事故の立証:被害者の負傷を示す医師の診断書+警察届出が不可欠。いずれか欠けると人身扱いにできず、賠償で不利に。
- 時間経過の不利益:「本当に事故が原因?」と疑われやすくなり、治療費・慰謝料・休業損害が認められにくくなる傾向。
要点:「呼ばなかった=もう無理」ではありませんが、早さが結果を左右します。
2. 切替のカギは診断書:取得の要点
- 医師(整形外科等)の診断書が必須。整骨院・接骨院の施術証明は代替になりません。
- 記載のコツ:「交通事故による○日間の加療を要する」「初診日」「負傷部位・症状」を明確に。受診時に事故日と症状の推移を具体的に伝える。
- 費用:概ね2,000〜10,000円前後。領収書は保管(相手保険へ請求可)。
ポイント:軽微でも受診を。初診が遅い=因果関係に不利になりがちです。
3. 物損→人身 切替の手順(実務フロー)
1
整形外科受診・診断書取得。事故による痛みを説明し、初診日・加療期間入りの診断書をもらう。
2
管轄警察署へ申請。物損で処理した警察へ診断書を提出し「人身へ切替希望」と伝達。免許証/車検証/自賠責証明/認印を持参すると済みやすい。事前連絡で来署予約が無難。
3
実況見分等の調査。必要に応じて現場検証・見分調書を作成。双方立会いや車両提示を求められることあり。
4
保険会社へ連絡・請求開始。人身扱い後、治療費・慰謝料・休業損害を請求。立替分の領収書も精算。
※明確な法定期限はないものの、一般に10日前後以内が望ましく、1か月超は因果関係の主張が難しくなる傾向があります。
4. 放置のリスク:慰謝料・休業損害・因果関係
| 放置の結果 | 具体的不利益 | 回避策 |
|---|---|---|
| 慰謝料が不支給 | 物損のままでは原則人身慰謝料の対象外。 | 診断書→警察切替→保険請求を早期に一連で。 |
| 休業損害が不支給 | 仕事を休んだ損害が認められない可能性。 | 就労制限の記載や主治医意見書で裏付け。 |
| 因果関係が否定 | 「事故原因ではない」と判断され減額/不支給。 | 初診の早期化、症状推移の記録、通院の継続。 |
実務の体感:「診断書が出た日=痛みが出た日」のように見なされがち。事故日との時系列の一貫性が鍵です。
5. ありがち質問Q&A
Q1. いつまでに切替えればいい?
法定の締切はありませんが、できる限り早く。一般には10日以内が望ましく、1か月超は難易度上昇と考えてください。
Q2. 整骨院の証明じゃダメ?
ダメです。切替に必要なのは医師の診断書。施術は並行可でも、整骨院の書面は法的な診断書の代替になりません。
Q3. 診断書費用は自己負担?
いったん立替が一般的。領収書保管のうえで相手方保険に請求できます。
Q4. 相手が切替に反対している…
切替可否は警察の判断。診断書を持参して申出を。やり取りは保険会社/専門家経由にし、当事者間の直接交渉は避けましょう。
6. 自力が不安なら:専門サポートの使い方
サポートでできること
- 整形外科の案内・診断書取得の段取り
- 警察切替の持参書類・進め方の指示
- 通院計画(整形外科→整骨院リハ等)の整理
- 保険会社対応(連絡・請求項目・証拠整備)
- 弁護士連携(増額交渉/紛争時)
準備しておくと早いもの
- 事故日・場所・相手連絡先・車両情報
- 痛みの部位と時系列メモ(発症時刻・悪化要因)
- 立替領収書(救急・診断書・薬局)
- 勤務先の休業状況(休業損害の裏付け)












