交通事故の治療費打ち切りとは?打ち切り後は通院を続けるべきか?

交通事故後に保険会社から治療費を打ち切りがあった場合、通院を続けるべきかどうか解説します。交通事故後の自費負担を回避する方法も紹介!打ち切りを打診されたら、すぐに通院はやめるべきなのかなどについてもおまとめします。

治療費の打ち切りとは?

交通事故でケガをしてしまった被害者は損害賠償請求として、そのケガの治療や通院にかかった費用などを加害者に請求することが可能です。
一般的に交通事故による治療費が打ち切りになるとは、保険会社が被害者に支払う医療費の支払いを、一定期間や一定金額を超えた段階で中止することを指します。
交通事故の被害者が受ける治療費は、原則として自動車保険によって支払われます。保険会社は、医療機関からの請求書を審査し、必要な治療費を支払います。しかし、治療費が長期化する場合や、金額が高額になる場合は、保険会社は治療費の打ち切りを決定することがあります。
治療費の打ち切りは、被害者が完全に回復していない場合や、後遺症が残る可能性がある場合には問題が生じることがあります。そのため、治療費の打ち切りに対しては、適切な手続きや申し立てを行うことが必要です。

交通事故の治療費打ち切り後に通院する4つの方法

交通事故の治療費が打ち切られた後に、通院を継続する方法については、以下のような方法があります。

 

1. 自己負担で継続する
交通事故の治療費が打ち切られた場合でも、自己負担で治療を継続することができます。ただし、医療費が高額になる場合があるため、事前に医療機関に相談してから継続するようにしましょう。

 

2. 再度、保険会社に申請する
交通事故の治療費が打ち切られた場合でも、再度、保険会社に申請することができます。ただし、治療が必要な理由や、治療の効果があることを証明する必要があります。

 

3. 医療費の助成制度を利用する
国や自治体が提供する医療費の助成制度を利用することができます。制度によっては、収入や家族構成などの条件がある場合がありますので、詳細は自治体の窓口などで確認しましょう。

 

4. 弁護士に相談する
治療費が打ち切られた場合は、弁護士に相談することも考えられます。交通事故に関する専門家である弁護士が、適切なアドバイスをしてくれることがあります。

交通事故の治療費を打ち切りされた後も通院するべきかどうか

交通事故の治療を継続しているときに、相手側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。しかし、その打診が来たからといって、すぐにそれに従う義務はありません。症状や治療の必要性によって異なりますが交通事故によって発生した症状がまだ続いている場合は、治療を継続する必要があります。症状が放置されると、後遺症が残る可能性があるため、専門医に相談することをお勧めします。
また治療を継続することで、回復が期待できる場合は、通院を続けることが必要です。ただし、医療費が高額になる場合があるため、自己負担が必要になる場合がありますので専門家に相談したり健康保険を使うなどをおすすめします。
もし治療費が打ち切られた場合でも、保険会社に再度申請することもできます。治療の必要性や効果を証明する必要があるため、診療内容を確認しておくことが重要です。

交通事故の治療費打ち切りには目安がある

保険会社の用語で「症状固定」という言葉がよく出てきます。「症状固定」とは、治療や通院をいくら続けても痛みに変化がなく、治療の効果が実感できない状態のことです。
交通事故でのケガについては治療や通院をすることで完治するのが理想です。しかし、後遺症が残ってしまう場合も残念ながらあります。保険会社が負担する治療の費用はケガが完治するまでか、もしくは症状固定までに治療した分のみとなります。
症状固定の後からかかる治療費については原則、負担はいたしません。保険会社は交通事故によるケガの程度や場所により、治療費の打ち切りを打診してくる一定の目安があります。打ち切りの目安は、例えば打撲なら1ヶ月ほど、むち打ちなら3ヶ月ほど、骨折なら6ヶ月ほどです。なお、交通事故による後遺症などがある場合は別途の後遺症慰謝料や損害賠償を受けることになります。

交通事故の治療費打ち切りの目安、タイミング

保険会社による治療や通院の費用負担の打ち切りは、「DMK136」という目安によって打診する時期を決めることが多いです。
「D」とは「打撲」で1か月、「M」とは「むち打ち」で3か月、「K」とは「骨折」で6か月という治療期間です。ケガの治療は、完治もしくは症状固定で終わりとみなされます。
交通事故を起こした加害者側の保険会社は、DMK136を基準にして治療や通院の費用負担の打ち切りを打診してくるのが一般的です。
一番気をつけたいのは、痛みが残っているにも関わらず、相手保険会社の治療費の都合のタイミングで治療を打ち切られるパターンです。保険会社は治療費が一定額を超えた場合、治療費の支払いを打ち切ることがあります。治療費の打ち切りのタイミングは、被害者の状態や治療の必要性によって異なるため、この様な場合は専門家に相談することが望ましいです。

交通事故の治療費打ち切り後も通院を継続するべき理由

もし保険会社から交通事故によるケガの治療費を打ち切られたとしても、まだ症状が残っているようでしたら、治療や通院を継続した方が良いです。
その理由は4つあります。

①後遺症が残る可能性がある場合
交通事故で受けた傷や痛みが完全に治まっていない場合や、後遺症が残る可能性がある場合には、治療が必要です。治療費の打ち切りによって、被害者が必要な治療を受けられなくなると、後遺症が残る可能性が高くなります。後遺障害等級が認定されやすくなる
後遺症を回避するため、長い期間の通院や治療を受けた履歴があれば、後遺障害等級の認定が受けやすくなる可能性が出てきます。そのため、痛みや後遺症などを感じる限りはできるだけ治療を継続しましょう。

 

②通院期間の長さで傷害慰謝料の金額が決定される交通事故のケガに対する治療や通院の期間が長い期間になると、保険会社から支給される傷害慰謝料も増えます。
例えば、重傷による3ヶ月の通院と6ヶ月通院を比較してみた場合、差額は弁護士の基準で43万円です。
通院月数が3ヶ月なら傷害慰謝料は73万円、6ヶ月なら116万円にもなります。治療期間が長くなるほど、1日あたりの慰謝料は少ないです。しかし、その合計分の損害賠償金は大きく増えるため、やはり勝手に治療をやめるべきではありません。

 

③労災認定の申請に必要な場合がある
交通事故で受けた傷や痛みが、被害者の労働に支障をきたす場合、労災認定を申請することができます。しかし、労災認定を受けるためには、治療記録が必要となります。治療費の打ち切りによって、治療記録が不十分になってしまうと、労災認定を受けることができなくなる可能性があります。

 

④保険会社との交渉に必要な場合がある
治療費の打ち切りが不当だと感じる場合や、治療費の支払いを求めるために保険会社と交渉する必要がある場合があります。その際には、治療が必要であることを証明するために、通院を継続することが重要となります。
治療費の打ち切りによって、被害者が治療を受けられなくなってしまうと、後遺症が残ったり、生活に支障をきたすことがあります。そのため、通院を継続することが必要であり、治療費の打ち切りに対しては、適切な手続きや申し立てを行うことが重要です。

交通事故の治療費打ち切りで自費通院を回避する方法

交通事故による治療費は、加害者側の保険会社が支払うことが一般的です。しかし治療期間が長くなると、保険会社が治療費支給の打ち切りを打診してくることがあります。
このような打診に対して、どう対応すればよいのか困惑する人もたくさんいるでしょう。そういった場合の対処方法について解説します。

 

方法① 任意保険会社の打ち切りの申し出をすぐに受けない
治療費の打ち切りが不当であると感じた場合、保険会社に再度交渉することができます。交通事故で受けた傷や痛みがまだ残っていること、または後遺症が残る可能性があることを訴え、必要な治療費を支払ってもらうように求めることができます。そのように保険会社から打ち切りの打診があっても、すぐに応じないようにしましょう。
被害者自身がまだ治療が必要だと反論をしても、保険会社はその客観的な根拠を確認できないため、説得力が不十分です。
医者が症状固定の段階ではないと診断したとき、それを根拠にして保険会社に伝えるようにしましょう。保険会社が治療費の支払継続に応じてくれる可能性があります。

 

方法② 任意保険会社との延長交渉を弁護士に依頼する
医者が症状固定の段階ではないと判断しても、保険会社がそれを認めず早期に治療費の支給打ち切りをするケースもあります。しかし、症状固定の段階に至るまでは治療費の全額を保険会社に請求することが可能です。そこで、交通事故に詳しい弁護士に保険会社との交渉を依頼する方法もあります。
弁護士は担当の医者から必要な情報を聞きだし、診断書の作成をお願いしたりすることができます。また、保険会社に対して治療が必要な根拠を示し、交渉することも可能です。その結果、保険会社が治療費の支払い継続に合意してくれることがあります。

 

方法③ 自分の人身傷害保険を利用して通院すること
相手側の保険会社から治療費の打ち切りをされたとしても、被害者側の保険に「人身傷害保険」があれば、被害者側の保険から治療費を受けることができます。

 

方法④ 健康保険を利用して後から請求する
もし仮に治療費の打ち切りがあったとしても、被害者側の健康保険で後遺症を回避するための治療を継続することができます。健康保険で被害者の負担額を3割にとどめ、負担も軽くすることも可能です。とりあえず被害者が治療費を払い、後で相手側の保険会社に治療費を請求することです。
「交通事故では健康保険が適用されない」というケースもなかにはありますが、交通は事故による負傷であっても健康保険の利用は可能です。また犯罪や自動車の事故などの被害による傷病も、医療保険の支給対象とされています。

 

方法⑤ 加害者側の自賠責保険に被害者請求をする
健康保険を利用し治療をした後、保険会社に治療費を請求したにもかかわらず支払いをしてもらえなかった場合、相手側の自賠責保険に被害者請求をする方法があります。被害者請求とは、被害者が自ら必要書類を準備し、相手側の自賠責保険の会社に補償を直接請求することです。
ただし、自賠責保険で請求できる上限額は、治療費、休業損害、慰謝料などの合計120万円までになります。よって、既に支払ってもらった費用と、打ち切り後に被害者自ら立て替えた費用の合計金額が120万円超えた場合、その超過分は自賠責保険から支給してもらえない点にご注意ください。また、被害者請求をしたとしても、自賠責保険の会社側の判断で治療費の支払いを認めてもらえないことがある点も注意が必要です。

交通事故の治療費打ち切り理由が症状固定の場合は?

交通事故による治療費が打ち切られる理由として、症状固定したと判断された場合があります。この場合、保険会社は、その時点での治療費や慰謝料などの支払いを行い、今後の治療費や損害賠償請求については支払いを行わないことがあります。
しかしながら、症状固定したからといって、今後治療を必要としないわけではありません。特に交通事故による後遺症は、症状が出ない期間があり、その後再発することがあるため、治療を継続することが必要となる場合があります。
このような場合、弁護士や専門家に相談することをおすすめします。弁護士は、治療費の打ち切りに対して適切な対応を行い、必要な場合は裁判を起こすこともできます。また、専門家の診断を受けることで、治療を継続する必要性を証明することができるため、交通事故の被害者にとって重要な手段となります。
また医者から症状固定の診断をされたら、後遺障害の等級認定の申請を行いましょう。後遺障害認定を受けられれば、後遺障害の分として後遺症慰謝料及び逸失利益の賠償を請求することが可能になります。
治療費が打ち切りされた後も自費で通院し、その後に症状固定と診断されたとき、保険会社に対して症状固定日までの未払いの治療費を請求しましょう。
保険会社との交渉で示談が成立すれば、症状固定日までの治療費も請求できます。保険会社が支払いをしてくれない場合、裁判所に賠償請求の訴訟をするとよいでしょう。

後遺障害認定を申請する方法

医師による診断書の作成
まず、後遺障害があると考えられる場合には、まずは専門の医療機関にかかり、医師による診断書を取得する必要があります。診断書には、患者の症状や治療経過、後遺障害に関する詳細な情報が含まれています。

 

保険会社への申請
診断書を取得した後、保険会社に後遺障害認定を申請する必要があります。保険会社からは、後遺障害認定に必要な書類や手続きについての説明がありますので、必要な手続きを進めていきましょう。

 

専門医師による査定
保険会社から指定された専門医師による査定が行われます。査定では、患者の症状や治療経過、診断書などの情報をもとに、後遺障害の程度がどの程度かを評価します。

 

認定結果の通知
査定結果に基づいて、保険会社から後遺障害の認定結果が通知されます。認定された場合には、その程度に応じて、一定の損害賠償金が支払われることになります。

まとめ

交通事故の治療費打ち切り後も通院は継続することをオススメします。
いったんは自費になることもありますが、後に回収して自己負担を回避する方法あることもありますし、自己負担を軽減する方法もあります。症状固定や後遺障害等級の認定は複雑であるため、自己判断せず、まず専門家に相談することが重要です。
専門的知識がないにもかかわらず自分で保険会社を相手に交渉をすすめてしまうと、自分が不利な状況に陥ってしまう恐れもありますのでご注意を。

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